アニメーション
はるかな未来とはいえない程度の未来。超人的な運動能力を誇る少女たちが、地球衛星軌道上の施設「大学衛星」に集められ、年に一度、大運動会を行っています。大運動会の優勝者は宇宙撫子(コスモ・ビューティー)と呼ばれ、大変な名誉を手にします。
主人公の神崎あかりは宇宙撫子を目指し、訓練校、そして大学衛星へと向かいます。
ときどき思い出したように、「努力とは、才能とは、勝利とは?」などという話を持ち出して間を持たせていますが、あまり真に受けず、ギャルアニメとして気楽に見ましょう。
でも友情(?)は大いに真に受けましょう。
ビデオゲーム、OVA、まんが、小説、TVアニメという多彩なメディアで展開された、いわゆるメディアミックスの作品です。
百合的にも、また一般的にも、もっとも注目されるのは、TVアニメ版です。OVA版とまんが版にも百合はありますが、まずはTVアニメ版から見ることをお勧めします。
監督の倉田英之は、チャンスがあれば必ず百合を入れてくる、有力な百合のイデオローグです。最近では、小説版『R.O.D』(集英社)でその手際を見ることができます(ただしアニメ版には百合はありません)。新しさには欠けるものの、バランスの取れた、期待を裏切らない百合が持ち味です。
『大運動会』は、私が知るなかでは、百合的な配慮がもっとも充実したアニメです。
まず、あかりのお相手が、前半と後半で違います。前半の一乃とは情熱的な友情を育み、後半のクリスは一目惚れであかりに言い寄ります。広範囲の要望に応えられる配慮です。
ただ惜しむらくは、一乃とクリスの対立がほとんど扱われなかったことです。この点についてはなにも期待せずに見てください。
お手本としてみた場合、『大運動会』は非常に有用です。特に、長尺のものを作ろうとするなら、『大運動会』を意識しながら作業すべきでしょう。
AIC・iPC/パイオニアLDC・テレビ東京・SOFTX・蔓年社・AEON
1997年10月~1998年3月にテレビ東京系で放映、VHS・LD・DVD(パイオニアLDC)