まんが 藤村真理
美少女の転校生・比呂は、人当たりのいい外見とは裏腹に、トラウマのぎっしり詰まった心をしていました。比呂の友達になった凪は、比呂のトラウマな行動に振り回されながらも、互いに心を通わせてゆきます。
私の知るかぎり、別マに百合の長期連載が載ったのは、この『降っても晴れても』が初めてです。
それまで少女まんがの百合といえば、もっぱら左派のものでした。中道派の別マに進出したことには大きな歴史的意義がある、と考えられます。
別マの百合は他に、中井芽菜「トレモロ」(『DIVE―ダイヴ―』所収)があります。また、榊ゆうかは絵から百合電波が出ており、「そっとFor You」(『Winterトルネード』所収)には百合要素を入れています。
藤村真理はこの作品のほかに百合は描いていません。
この作品の、トラウマと百合の組み合わせは、現在の目で見ると、あまりにも古色蒼然としています。それは間違っているわけでも、劣っているわけでもありません。ただ、時間とはそのようなものなのです。
なお、最後は男とくっつきます。ご注意ください。
集英社 全5巻 1993年12月22日発行(第1巻)