2004年07月05日

1992年からの手紙

 皆川ゆかの「運命のタロット」シリーズ最終巻『《世界》。』を読んだ。
 実は、『ぴたテン』と同じオチで終わるのではないかと予想していた。ライコ=湖太郎、ジョン=小太郎、《魔法使い》=美紗。美紗と湖太郎のつながりが、湖太郎と小太郎の同一視からはじまったように、《魔法使い》とライコのつながりは、ジョンの一方的なライコへの愛からはじまった――という読みだ。が、外れた。ジョンが作品の根本にかかわるミッシングリンクのはず、と仮定したのが失敗だったらしい。
 愛の観念は驚くべき速さで変わる。1991年のTVドラマ『101回目のプロポーズ』の主人公は、いまではストーカーじみて見える。「運命のタロット」シリーズが始まった1992年には、大河のたどった運命は納得のゆくものだったのだろう。今日では、厳しい評価をせざるをえない。
 以下ネタバレになるので未読のかたは注意されたい。
 ジョンの存在意義は不明のまま終わった。あんなところで重要人物めかして登場しておいて、なにもオチをつけずに終わってしまったのだから、予想を覆されるのも仕方ない。
 まさかと思うが、ジョンが宇宙終焉の引き金を引く、などという設定だとしたら、私はもう皆川ゆかを読まない。小悪を後生大事にかかえている小人にそんな大役を当てるのは、極めつけの馬鹿だけだ。

Posted by hajime at 2004年07月05日 02:12
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