橘裕『ガッチャガチャ』4巻を読んだ。
史上かつてなく心荒む少女まんが――だったはずが、4巻ではあまり荒まない。話が間延びしているせいだろうか。
クンデラ『存在の耐えられない軽さ』の終盤に、繰り返すことと幸福についての議論がある。飼い犬が毎日同じように散歩を要求しても、飼い主はけっして「たまには違うことをしてみせろよ」とは思わない。同じことの繰り返しが肯定されるとき、幸福がある――大略こんな議論である。
間延びした話にも、同じことがいえる。サザエさん化した話や、『っポイ!』化した話のなかには、たしかに幸福がある。もし『デビルマン』が5巻で終わらずに話を引き伸ばしていたら、愚にもつかない駄作になっていたはずだ。
心荒む少女まんがたるべき本作品も、ぜひ手早く話を進めてほしい。