2004年07月09日

荒みません

 橘裕『ガッチャガチャ』4巻を読んだ。
 史上かつてなく心荒む少女まんが――だったはずが、4巻ではあまり荒まない。話が間延びしているせいだろうか。
 クンデラ『存在の耐えられない軽さ』の終盤に、繰り返すことと幸福についての議論がある。飼い犬が毎日同じように散歩を要求しても、飼い主はけっして「たまには違うことをしてみせろよ」とは思わない。同じことの繰り返しが肯定されるとき、幸福がある――大略こんな議論である。
 間延びした話にも、同じことがいえる。サザエさん化した話や、『っポイ!』化した話のなかには、たしかに幸福がある。もし『デビルマン』が5巻で終わらずに話を引き伸ばしていたら、愚にもつかない駄作になっていたはずだ。
 心荒む少女まんがたるべき本作品も、ぜひ手早く話を進めてほしい。

Posted by hajime at 2004年07月09日 07:06
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