隔月刊のまんが誌は新しいビジネスモデルを提示しているのではないかと思う。隔月刊連載のまんがを読むと毎回、前の話がうろ覚えもいいところなので、単行本でまとめて読まないと、どんな話かわからない。これは単行本を買わせるための新しい手口ではないか。隔月刊とは違って前の話を忘れずにすむ日刊連載『完全人型』のこともどうかよろしくご贔屓ください。
というわけで、『つぼみ』は全部揃えているのに、気になる作品の単行本を買ってしまう。今回は『魚の見る夢』。登場人物の描き分けが淡いのは、このビジネスモデルに合わせてのことだろうか、などと勘繰りつつ。
実姉妹カップル+シリアスという組み合わせは百合メインの作品にとっては鬼門で、大成功した作品を見た記憶がない。世界改変魔法(=世界を望みどおりのパラレルワールドに作り変える魔法)をプラスすれば、等々考えるが、もう一つ二つ仕掛けがないと、百合メインの作品にするのは厳しい気がする。
(百合メインでない作品で成功した例としては、原作の『ヤミと帽子と本の旅人』など)
では本作品はというと、フィクションらしさの規範(起承転結、カタルシス、自分自身を発見する主人公、など)との関係に猛烈なぎこちなさがある。「いかにもフィクションらしいフィクション」をやろうとすると実姉妹カップル+シリアスはやはり厳しいのかもしれない。
もっとも、百合で「いかにもフィクションらしいフィクション」など読みたくないし、またそういうものを描く人は百合に手を出そうとは思わないだろう。百合の魅力が色あせない理由はここにもある。
白木紅愛『家出少女日記』、全然話題になりませんでしたね。仕事に恵まれなさげな百乃モトさんが漫画化すればとか
Posted by: 赤木颱輔@akakiTysqe at 2012年09月17日 20:52 『家出少女日記』は、当時の携帯小説の流行りそのままに「派手なもの詰めました」感があふれていたので…… かくいう私も読んでいません。
百合の読者にとって、百合はすごいもの、素晴らしいものではあっても、派手なものではありません。ちょうど人間がみなそうであるように。