少女革命ウテナ

アニメーション

作品紹介

 たとえばここに、強く気高い女の子がいるとします。主人公・天上ウテナ。彼女は、髪を伸ばして、学ランを着て、スパッツをはいています。
 姫宮アンシーは、誰にも逆らわず、鼻歌を歌いながら温室で薔薇を育てています。
 なぜかは知りませんが、姫宮アンシーは薔薇の花嫁なので、決闘の現在の勝者の言いなりです。この決闘ゲームに巻き込まれて、勝ってしまった天上ウテナ。
 苛烈なまでに美しい物語が始まります。

作品の周辺

 ビーパパスとは、幾原邦彦・さいとうちほ・榎戸洋司・長谷川眞也・小黒祐一郎の五人で構成された、ウテナ制作集団です。
 TVアニメの常識では測れない美しさや不条理を満載しながら、全39回を隙なく作り上げ、完成度の高い異色作として大きな話題を呼びました。とはいえ、ブームの規模では、ヒットしたギャルアニメ(『機動戦艦ナデシコ』など)に敵いません。
 TVアニメと劇場版アニメのほかに、まんが版と小説版がありますが、読まないほうがいいでしょう。

百合的な見どころ

 『ウテナ』は、百合な要素を含んでいるのではなく、百合によって作品が成立しています。百合抜きの『大運動会』はなんとか考えられますが、百合抜きの『ウテナ』は到底考えられません。そのため、どんな百合かを説明することもできません。作品は、特に『ウテナ』は、説明できないからです。
 が、『ウテナ』をもって標準的な百合のお手本とすべきかというと、否だと思います。
 第一に、天上ウテナのような男装風のキャラは、捌く――ストーリー上収まるべきところに収める――のが困難です。私が『ウテナ』の放映第一回を見たとき、最初に懸念したのがこの問題です。
 第二に、『ウテナ』における百合(ウテナとアンシー)のありかたは、『ウテナ』という作品の個性と密に結合しており、汎用性に乏しいものです。
 露骨に『ウテナ』を思わせるエロゲーが2本(『学園お嬢様奇譚』(シーズウェア)、『サフィズムの舷窓』(ライアーソフト))リリースされていますが、どちらも、お世辞にもウテナ風とは言えませんし、百合的に高いレベルに達しているとも言えません。『ウテナ』がお手本にはならないことの例証といえます。

ビーパパス・さいとうちほ/小学館・少革委員会・テレビ東京
1997年4月~12月にテレビ東京系で放映、VHS・LD・DVD(キングレコード)

『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』
1999年、VHS・DVD(キングレコード)

 

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