2004年08月24日

奥山益朗『消えた日本語辞典』

 読者諸氏は「闇夜の黒牛」という言葉をご存じだろうか。黒一色の光景をいう慣用句である。広辞苑には出ていないものの、Googleでは用例をかなり拾える。
 小学校6年生のときに、この慣用句を使った記憶がある。クラスの卒業制作の図案として、私は「闇夜の黒牛」を提案したのだ。もし実現していたら、私のようなひねくれ者を励ます記念碑として多くの人々に感動を与えたはずだと、今でも信じている。
 昨日、この言葉を使ったところ、相手に通じなかった。どうやらこれも死語の仲間入りをしたらしい。
 会話ならまだしも、文章中で死語をそれと知らずに使うと危険なので、『消えた日本語辞典』のような本はありがたい。「これが死語では困る」という言葉も多いが(特に、「ほだされる」のような風情のある和語が使えないのは百合にとって致命的だ)、それなりに参考になる。
 また、差別用語の変遷が面白い。「下女」という言葉がもともとあり、これが差別的なので「女中」と言い換えたところ、数十年を経たらその「女中」が差別用語だというので「お手伝いさん」になったという。次の言い換えはきっとカタカナ語になるだろう。esbooks

Posted by hajime at 2004年08月24日 06:26
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