人や組織の強さを測る方法は数多いが、「二階に上げて梯子を外す」ような行動は、強さの証拠としてかなり有力である。しがらみを断ち切る力があるということだからだ。梯子を外せなくなったら、人は老いてゆくほかなく、政権は打倒されるほかない。
さて、外す側は強いのでいいとして、外された側はどうするか。
大量破壊兵器の発見断念でも「攻撃支持に問題なし」
そのうちブッシュ政権が「イラク攻撃は国際法に反していた」と認めたら、「憲法上の観点からも問題ないと判断した」と釈明してくれるにちがいない。
これは、どう贔屓目にみても、模範解答ではない。「よくも梯子を外してくれたな」と言わんばかりの、負け犬の答案である。
「米国の主張を疑うに足る情報を収集する能力がなかったので、米国との信頼関係にもとづいて攻撃を支持した。判断の基礎となる主張が覆されたので、攻撃支持は撤回する。イラク復興支援は攻撃支持とは趣旨が異なるので問題ない」くらいが正解に近いと思う。
いまさら支持を撤回しても大したことは起こらないし、騙されたなら騙されたと認めるほうが印象がいい。情報収集能力の欠如を理由にあげれば、その方面の予算を増やす口実になるので、一部の人々に喜ばれる。イラク復興支援と攻撃支持を別物とするロジックを、ここで生かさない手はない。
秋の臨時国会で、政府がどういう答案を書くか、注目してゆきたい。