2006年02月01日

ローゼンメイデン トロツキスト

 時にはアニメの話をしようか。
 『ローゼンメイデン トロイメント』を最後まで見た。金は足りても尺が足りないアニメだった。
 水銀燈が安いのが悲しい。おそらく尺が足りないせいだ。めぐ×水銀燈を厚くできないので、安い手で支えるしかなく、そうなると水銀燈も安くなる。小難しいアニメなら、しのぐ手はいくらでもあるが(しのぐために小難しくなるのだ)、この作品はそうではない。
 薄いといえば、前シリーズで巴×雛苺が薄かったのは個人的には残念だったが、作品的にはあまり影響がなかった。しかし今シリーズではその影響が出てしまった。
 そもそも12話では、人形6体プラス主人公を支えるだけで手一杯になる。人形が増えて人形師まで出てきたら、もはや限界だ。薔薇水晶の性格がほとんどわからないのは、そのせいだろう。
 どうすればよかったか。後知恵でいうなら、動機の構成を変えるのがいい。
 まず、前シリーズを、水銀燈×真紅とみなす。今シリーズでは、敗れた水銀燈がいじけて癒し系のめぐに心を移し、それに嫉妬した真紅が「アリスゲームなんて馬鹿馬鹿しい(めぐのために戦うのではなく、私だけを見なさい)」と言い出す――という具合に動機を構成する。こうして、めぐ・水銀燈・真紅のラインで重点を形成する。
 水銀燈 vs 蒼星石は、「水銀燈がめぐのために戦う」というところを前面に押し出す。雛苺の最期は、水銀燈と真紅の対称性を押し出す。薔薇水晶と人形師は重点に絡まないので、ただの背景くらいにする。
 こういうことは、あとから他人が考えればみな自明なのだが、作っている最中の当人たちには、けっしてわからない。

Posted by hajime at 2006年02月01日 02:32
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