誰でも、萩尾望都『11人いる!』を読めば、わかるはずだ。ひとつには、この世には不正がまかりとおっている、ということ。そして、その不正と戦わなければならない、ということが。 不正――自己都合で性別が決定されるなどというふざけた設定が、広く世に受け入れられている、という事実。 『エーベルージュ』で終わりかと思われたこの設定を持ち出してきたのだから、『シムーン』は疑ってかかるべきである。