前回に続いて妄想キャスティングである。レズ声優スレの常連でありながら選に漏れた声優の選考理由について。
松来未祐:
背の低い総受けには、とりあえずこの人だろう。この話には出てこないタイプだ。
植田佳奈:
入れるとしたら美園だが、老けた雰囲気が出せるかどうかわからない。
中原麻衣・清水愛:
清水の陸子に中原のひかるでもいいような気がしてきた。清水の衝撃力に疑問は残るものの、中原との連携がいいので補えるだろう。
伊藤静:
こやまの陸子と伊藤のひかるだと、もろにレミコトにかぶるので避けてみた。かぶせたいかたはご自由にご妄想ください。
堀江由衣:
卑怯未練な受けに使いたい才能だが、あいにくこの話にはそういう登場人物がいない。卑怯未練な受けは、BLではおいしいポジションだが、百合ではあまり出番がない。
渡辺明乃:
けなげな受けに使いたい才能だが以下同文。
ついでに、「なぜこの人を使わない?」という疑問が出るような人について。
広橋涼:
緋沙子のような雰囲気の役(『灰羽連盟』のラッカ、『ARIA』のアリス)が多いので、ベタに考えれば、必ず名前の挙がる人だろう。
が、緋沙子については、ベタにあてるのを避けて自由度を高くするほうがいい。陸子と美園は解釈の幅が狭いので、緋沙子までベタにあてると、主役のひかるがあまりにも動きづらくなってしまう。能登麻美子は、構想は面白いが、小器用なところがない。
3回にわたって長々と続けたが、以上が私の妄想キャスティングである。
*
私が布団を出ようとすると、陛下が絡みついてきて、また布団の中にひっぱりこまれてしまった。
「ケンカのあとにエッチすると燃えるっていうけど、ほんとだー」
こうしていると、なにもかもが夢のように思える。
それで、つかのま夢をみる。なにもかもが私を追い詰めてケンカさせるための茶番で、これから陛下は種明かしをなさるのだ、と。緋沙子はこれからも陛下のお側にいて、私もこのままで、めでたしめでたしで終わるのだ、と。
もともと陛下には芝居がかったところがあられる。慣れないうちは、陛下の感情表現はわざとらしく思えることもある。茶番という夢はさほど無理せず見られる。
けれどその夢では、あまりいい気持ちにはなれなかった。あのとき、陛下のお心の奥底に、じかに触れたと思ったのに、それも茶番になってしまう。
茶番――護衛官選考の最終面接のことを思い出す。
あのとき私は、陛下との絆を確かめたと思った。確かめたはずなのに、あとで不安になった。あれは茶番だったのではないか、と。それでもいい、陛下のお側にお仕えできるなら、と思った。
私はやっと今になって、信じている。
陛下のなさることは、まばたきひとつに至るまで、お心をそのまま映している。どんなに嘘をおっしゃり、隠し事をなさっても、みな真心からのことだ。そのことを知らなかったわけではない。けれど心のどこかで疑っていた。
もし、なにもかもが真心からのことだとしたら、私はあまりにも、息もできないほど、愛されている。
「知ってる? ひかるちゃんの背中って、ほくろが全然ないんだよ。ここに小さいのが1個あるだけ」
身体の右側、腰骨の上のあたりを、指で押される。
「存じませんでした」
「刺青とか好き? 彫りたいなー。小さいのでいいの。私とひかるちゃんの相合傘を、このへんに」
と陛下は肩甲骨のあたりを示されて、
「そしたら、ひさちゃんが見るたんびに悔しがるよ。いいなー、彫りたい」
つかのまの夢が吹き飛ばされる。
「目的がそのようなものでしたら、無用と存じます」
「ひかるちゃんもクビ」
そのお言葉には迷いも震えもなかった。
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