たまには実用的なことも書いてみる――Vista用PCを買うのにいい日は、いつか?
高性能・高機能のPCなら、金さえ払えばサルでも買える。こんなエントリを読む必要もない。だが、広告(製品レビュー)が書かないネガティブな要素の少ないPCを買うには、金ではなく知恵が要る。
ハードウェアベンダは、ネガの少なさではなく、高性能・高機能を売りたがる。ベンダには、ネガを潰すインセンティブが乏しい。しかしMicrosoftには大いにインセンティブがある。糞ハードウェアや糞ドライバのせいでWindowsが落ちたとき、責められるのはMicrosoftだからだ。
というわけでMicrosoftは長年にわたってネガ潰しに努力してきた。たとえば、XPのドライバのインストール時に、「このドライバはデジタル署名されていません」という警告が出る。認証プロセスを経ない(=出来の怪しい)ドライバを排除するための努力だ。
Microsoftのネガ潰しは、ハードウェアベンダにとっては猛烈に苛立たしい。売りたいもの(=高性能・高機能)と関係がないからだ。全身全霊をこめてスルーする努力を重ねている。そのおかげで、「このドライバはデジタル署名されていません」という警告は、無視するのが常態になってしまった。
さてVistaである。
MicrosoftはVistaで、さりげなくも強力なネガ潰しを始めた。Windows Vista Logo Program Client System Requirementsの、Premiumである。PCにPremium Readyロゴをつけるには、この要件を満たさなければならない。
資料を詳しくご覧いただけばわかるとおり、ネガ潰しの要件が多い。たとえばSYSFUND-0048は、オーディオのライン出力のノイズレベルを定めている。確かに、PCのライン出力のノイズレベルは、優秀な機種があるかと思えば、ひどいものもある。また、SYSFUND-0050は、起動時や終了時に「ブツッ」というノイズを出さないことを定めている。
もっとも強力な要件は、SYSFUND-0040だろう。Windowsのクラッシュレポートにもとづいてドライバの品質を判定し、点数の悪いドライバは使ってはならないとされる。NT系列のWindowsが落ちる理由はほぼ100パーセント、糞ハードウェアと糞ドライバのせいなので、SYSFUND-0040が発効すれば、PCの安定性を高めるのに効く(そしてハードウェアベンダにとっては頭痛の種になる)はずだ。
発効すれば――そう、上記の要件はいずれも、まだ発効していない。2007年6月1日に発効する。
というわけで、Vista用PCを買うのにいい日は、2007年6月1日である。この日に有効なPremium ReadyロゴをつけているPCは、いま売っているPremium Ready PCよりも、ずっとネガが少ないと予想される。
余談だが、ノートPCにReadyDrive対応ハイブリッドHDDを搭載するべしとの要件(STORAGE-0005)は、2008年6月1日発効となっている。去年半ばの報道では、2007年発効となっていた。ハイブリッドHDDの離陸はもたついているらしい。