Googleによって人類は多くのうろ覚えを克服した。しかし限界もある。
私は「パックマン・マヌーバー」という言葉をうろ覚えしていた。たしか、ゲームの『パックマン』の大流行を記録した記事で読んだ。「どこがパックマンなのかさっぱりわからないが、とにかく流行り物にあやかってパックマンと名前がついた」例として、パックマン・マヌーバーが挙げられていた。
さてパックマン・マヌーバーとはなんなのか。記憶にない。その記事には書いていなかったような気がする。Googleで調べてみたところ、英語でのヒットはたった1件。敵対的買収を仕掛けられた会社が、防御のために、仕掛けてきた会社を逆に敵対的買収することを言うらしい。
もしこの1件がなければ、私の記憶を確かめるすべはなかったし、「パックマン・マヌーバー」の意味を知ることもできなかった。それもおそらく一生。
これは、人の記憶がはかないのか、それとも世界がはかないのか。