2008年02月19日

理解について

学校の成績に関する限りはうまくいっていたが、有能な先生の指導にもかかわらず、私は哲学というものを決して「好む」にはいたらなかった。この学問と私の思考法には非両立性が在るようだ。試験ではカントとデュルケイムに関する問題が出題された。私は使っていた教科書はよく勉強していたので、無難な小論文が書けたが、それまでにこのふたりの学者が書いたものを一行も読んだことはなかった。それなのに、私は自分が思ったよりも、はるかに上位の成績がもらえたことが不快だった。
(中略)
自分が話している中身についてほとんど理解していないのに充分やってのけられる学問など、一顧だに価しないと、私には思えたのだ。
『アンドレ・ヴェイユ自伝 上』(シュプリンガー・フェアラーク東京)25~26ページ

 逆にいえば、ヴェイユのような数学者は、たとえば高次元の幾何学を、論理的な操作以上のものとして理解できるらしい。想像もつかない世界だ。

Posted by hajime at 2008年02月19日 19:56
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