『うわさの翠くん!!』は第14号で、僕キミは第15号で連載が終わる。少コミの大黒柱の僕キミと、ゲーム化でプッシュされていた『うわさの翠くん!!』がほぼ同時に完結するというのは、偶然だろうか。
さて、2008年第12号のレビュー。
・千葉コズエ『君と恋におちる魔法で』新連載第1回
あらすじ:主人公(みこ)は、憧れのパン屋で働くために店におしかける。首尾よく雇ってもらえるが、店をあずかっているのは同い年(16歳)の彼氏役(奈津)だった。
作者は名前の開示にこだわりがあるらしく、今回も彼氏役の名前を最後までひっぱっていた。こういう企みがどれくらい少コミ読者に効くかは疑問だが、私的には面白い。
アパートを借りたり人を雇ったりがルーズに進むのはかまわないし、14時間も続けられるような労働は肉体労働とは言わない、という点はおくとしても、14時間労働を正当化するような彼氏役の発言は疑問だ。社会の仕組みがルーズなのと、彼氏役の視野が狭いのとでは、事の意味がまるで違う。
学校以外の舞台を設定する試みは、吉と出るか凶と出るか。
採点:★★★☆☆
・真村ミオ『僕らの世界で。』新連載第1回
あらすじ:主人公(こころ)は好きなバンドのライブで彼氏役(波瑠)と知り合う。あるとき、好きなバンドの好きなメンバー(当て馬、櫂)と遭遇し、喜ぶこころを見て波瑠が嫉妬する。
画面の流れがスムーズで、アイディアもよく練れている。
採点:★★★★☆
・青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』連載第64回、最終回まであと3回
あらすじ:逞のプロポーズに、繭の母親は反対するが、父親(逞の主治医)は「君を死なせない」と言って賛成する。病院で結婚式ごっこ。
……なんだこりゃ。
第62回で繭の父親が、「人体実験の域を出ない」「職人が保証したボートに乗りたくはないか?」と暗に移植をうながしていたのは一体なんだったのか。
予想をする気が失せるが一応まだしてみる。残り3回では、移植転向の修羅場をやるには短すぎてもったいないので、もう移植はなさそうだ。照のネタをやり、手術前のわずかな幸せな時間をやり、手術室へ向かうところで完、というくらいか。
採点:★★☆☆☆
・池山田剛『うわさの翠くん!!』連載第42回、最終回まであと2回
あらすじ:当て馬(カズマ)はリハビリのため遠くの病院に転院する。主人公(翠)はスランプに陥るが、彼氏役(司)は翠を「オレが唯一認めたライバル」と言う。翠はカズマに会いにゆき、「カズマが好きだよ」と告げる。
もしハッピーエンド縛りがなければこれは司に死亡フラグだが(ろくでなしが突然立派で孤独になったら死ぬと相場が決まっている)、少コミ長期連載はハッピーエンド縛りなので、別の手でゆくのだろう。
採点:★★☆☆☆
・水波風南『今日、恋をはじめます』連載第17回
あらすじ:主人公(つばき)と彼氏役(京汰)が遊園地にデートに行くが、のっけからトラブル連発の予感。
しばらくはいちゃいちゃ展開が続きそうだ。その先は京汰のトラウマ話か、あるいは新ネタ投入か。
採点:★★★☆☆
・藍川さき『委員長の秘メゴト』連載第3回
あらすじ:主人公(彩乃)が彼氏役(悠人)の家業(暴力団のシマの管理)に巻き込まれ、ただならぬ格好で帰宅する。それを見て彩乃の母親は怒り、彩乃は悠人に泣きつく。
『ワイルド7』はデタラメここに極まれり、というまんがだが、「暴力団は自警団の成れの果て」「治安維持すなわち権力」という点は外していなかった。しかしこの作品は外している。
社会の仕組みをルーズにデフォルメすることと、こういう点を外すことのあいだには、なにか根本的な違いがあるような気がする。が、どう違うのかはうまく説明できない。
採点:★★☆☆☆
・水瀬藍『だから、俺にしなよ』連載第7回
あらすじ:主人公(陽菜)は彼氏役(奏多)を好きになろうとするが、当て馬(秀悟)に惹かれている。
ピンチ連発まんが。
採点:★★☆☆☆
・くまがい杏子『放課後オレンジ』連載第19回
あらすじ:過去話。彼氏役(翼)がハイジャンを志したのは、当て馬(滉士)を見て憧れたからだった。
そろそろ終わりそうな気配。
1ページ目左下のコマの効果のつけかたがおかしい。
採点:★★☆☆☆
・織田綺『箱庭エンジェル』連載第11回
あらすじ:主人公(羽里)が彼氏役(桃)を夢に向かって進むよう励ます。
登場人物が行動しない。
採点:★★☆☆☆
・白石ユキ『忍びでないと!』読み切り
あらすじ:わからない。
なにがなんだか、さっぱりわからない。
採点:☆☆☆☆☆
・徳永さつき『恋風Week』読み切り
あらすじ:わからない。
なにがなんだか、さっぱりわからない。
採点:☆☆☆☆☆
・蜜樹みこ『蒼いキセキ』最終回
あらすじ:「私の恋はまだまだこれからだ!」で完。
これほど見事な打ち切りを目撃したのは久しぶりだ。
採点:★★★☆☆
第48回につづく