2008年10月22日

Sho-Comi(少コミ)を読む(第57回・2008年第22号)

 2008年第22号のレビュー。

 
・千葉コズエ『ひとりぼっちはさみしくて』新連載第1回
 あらすじ:歌手に憧れ、ひっそりと作詞に励む主人公。彼氏役に歌詞と歌を褒められる。
 ぎこちない。3回連載でないのなら、主人公の眼鏡の扱いが試金石になるだろう。眼鏡に否定性を割り振ったうえで眼鏡を否定する、というやりかたの無間地獄的な性格に気づかない作者ではない。
 評価:★★☆☆☆
 
・咲坂芽亜『ギャル華道』連載第10回
 あらすじ:主人公(つぼみ)は彼氏役()の学校で、楓の知人(ライバル、唯子)に出くわし、劣等感に駆られる。
 唯子の魅力が足りない(スペックが高いだけに見える)ので、登場人物がみな陰湿で愚かしく思える。
 評価:★★☆☆☆
 
・車谷晴子『ぜんぶ ちょーだい』連載第8回
 あらすじ:主人公(姫恋)と彼氏役()が学校の屋上に閉じ込められる。
 平たく進んだ。
 評価:★★★☆☆
 
水波風南『今日、恋をはじめます』連載第27回
 あらすじ:主人公(つばき)は妹にけしかけられ、性行為を意識するようになる。
 14~15ページの意味がわからない。少コミの彼氏役は浮気しないものと決まっているが。
 評価:★★★☆☆
 
・藍川さき『僕から君が消えない』連載第2回
 あらすじ:主人公(ほたる)は彼氏役(康祐)に惹かれはじめる。その矢先、ほたるが二年前から康祐の兄(教師、)を追いかけていたことを康祐が知る。
 画面がごちゃごちゃしている。少々つめこみすぎか。
 評価:★★★☆☆
 
・池山田剛『好きです鈴木くん!!』連載第5回
 あらすじ:主人公(爽歌)は彼氏役()に励まされ、いい調子で劇の主役をつとめはじめる。
 輝が普通に魅力的、つまり少コミ的にかなり優れた彼氏役だ。
 スタニスラフスキー式(=なりきり式)の演技描写は、『ガラスの仮面』のように長々と描写する話にしか向かないと思う。
 評価:★★★★☆
 
・水瀬藍『センセイと私。』連載第4回
 あらすじ:学校で秘密の恋。その秘密を知った当て馬(栄人)が、彼氏役(篤哉)のいるところで主人公(遥香)に告白。
 いまどき校内禁煙でない学校があるのだろうか。それを抜きにしても、小道具にタバコを使うと、人物にポーズをつけるのがラクになるのだが、画面でラクをしたぶん登場人物が下品になる。下品な敵役にはぴったりだが、ミステリアスな彼氏役にはミスマッチだ。
 評価:★★★☆☆
 
・ミヤケ円『横暴キングに極秘ラブ』読み切り
 あらすじ:主人公と彼氏役は運動部の部長同士で、体育館の利用をめぐって利害対立がある。主人公が自分の部を利するために接近したと彼氏役に誤解される。
 単純な話なのに、構成がまずく、わかりづらい。少女まんがの文法への理解が浅いのか。
 評価:★★☆☆☆
 
・市川ショウ『それでもやっぱり君が好き・』読み切り
 あらすじ:主人公は好きなアニメキャラに似た彼氏役と出会い、つきあいはじめる。
 アイディアがもう一押し足りない。
 評価:★★★☆☆
 
悠妃りゅう『花嫁さまは16歳 2nd Season』連載第9回、次回最終回
 あらすじ:旅先でいちゃいちゃ。
 最終回の結婚式の前にいちゃいちゃ、という展開。
 評価:★★★☆☆
 
織田綺『箱庭エンジェル』最終回
 あらすじ:彼氏役()がアメリカに行く前日、桃ひとりのための卒業式を開く。数年後、桃と主人公(羽里)の結婚式で終わり。
 この作者の作品を読んでいると、「アク」について考えさせられる。少コミのように狭い範囲で描く場合、神のごとき腕がなければ、どこかしら無理だったり過剰だったりしないと、大ヒットには至らない。この作者にはそれが足りないような気がする。
 アクを出すテクニックとしては、作者自身の怨念や後悔を使う、というのが一般的だ。少コミではあまり見ないテクニックだが、見直してほしい。
 評価:★★★☆☆
 
・山中リコ『アン☆ラッキーガール』最終回
 あらすじ:散漫。
 オチらしいオチがない。勇気ある行為ではある。
 評価:★★☆☆☆
 
第58回につづく

Posted by hajime at 2008年10月22日 02:27
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