またのタイトルを、『ダンロップ坂 〜私、自転車、向いてない〜』。
私は夏のあいだ外をまったく走らないので(春秋冬もほとんど走らないが)、長距離に耐える能力が弱まる。弱まった能力に活を入れるべく、もてぎエンデューロ(正式名称:『第2回ランアンドバイク イン もてぎ 7時間エンデューロ 開業15周年記念大会 powered by ウイダーinゼリー』)に参加した。ソロで。
どうせならスタート直後の何十秒かは先頭集団に食いついて愛三工業の走りを間近で拝んでやろうと思ったが、会場到着が遅れたため、スタート前の位置取りに出遅れ、すると当然のごとく一周目半ばにして集団から脱落し、あとは一人旅となった。ゆっくり一人旅をしても(時間的に)最後まで走れるのがエンデューロのいいところだ。
なぜ会場到着が遅れたのか。深い訳がある。
話は前日に遡る。私は茂木のホテルに泊まった。チェックインの際フロントに、朝食は何時かと訊くと、7時と言われた。これでは間に合わないので「いらない」と言うと、相手は「6時45分でどうですか」。一応、朝食つきで予約してあったので、朝食代相当の500円が惜しくて「それでいい」と返事してしまった。
教訓:スケジュールを守る
一人旅になってみると、イベント直前に泥縄式に長距離ばかり走ってきたせいか、足の筋肉が痛い。即発性筋肉痛である。高強度をしないと覿面に筋膜の痛覚が過敏になる。少なくとも前日は高強度をすべきだった。ヒルクライムなら前日の試走なりで必ず高強度を入れるところだが、エンデューロと思って油断した。
教訓:前日に高強度を入れる
補給食は主におにぎりとバナナの組み合わせを予定していたが、前日のスケジュールの乱れによりバナナの調達に失敗した。おにぎりは「サトウのごはん」から作ったが、これが底抜けにまずい。飯というより糊に近い。
教訓:スケジュールを守る
教訓:「サトウのごはん」は使えない
サブの補給食として、水あめを高濃度に入れたボトルも使った。これはいい感触を得たが、ロングボトル1本は少々多すぎて、飲みきらずに終わった。次はマルトデキストリンを試したい。
教訓:水あめは使える
即発性筋肉痛のため、気力も出力も驚異の低空飛行になったが、高空飛行しても得るものがあるわけでもない。LSDと思えばこれはこれでいいトレーニングではある。ときどき列車にタダ乗りし、一度は先頭集団にも乗ってみた。ただしこれは、優勝を争っている人がトイレで降りたのを待ってスローダウンしていた瞬間にたまたま居合わせたから乗れただけで、半周と持たずに脱落した。
6時間(台風接近のため予定より1時間短縮)も走っていると、いろいろなものを見かける。
1周目か2周目で、落車後の様子を目撃した。しばらくして救急車がコースに入っていた。
整備不良の自転車を何台も見た。変速位置が合っていなくてガチャガチャ鳴っている自転車は特に耳障りで、後ろにつくのが辛い。
集団内でハスったかどうかして、罵声が飛ぶのを見かけた。集団は先頭付近で回っていないとストレスフルらしいと聞くが、なるほどと思う。
ディスクホイールに絵を貼った痛チャリを数台見かけたが、登り以外では絵が判別できない。痛ジャージこそ本道だと改めて感じる。さらに言えば、ジャージではなくエアロワンピースのほうが痛さが激しいのではないか。
教訓:痛ディスクホイールより痛ジャージ
世の人々の、登り始めの速さと下りの遅さには驚く。毎周回、ダンロップ坂にさしかかると、いったいどこから湧いてきたのかと思うような大群が私を追い抜いてゆく。張り合ってもなにもいいことはないので、LSDペースで登ってゆくと、途中から逆に私が追い抜き始める。下りはいったいなんのつもりなのかと思うほど遅い。私は別に下りが速いわけではない。前にヤビツの下りでイナーメ信濃山形の2人に追い抜かれたことがあるが、唖然とするほど速かった。
最後に、もてぎツインリンクに輪行される皆様に耳寄りな情報を。
ツインリンクから宇都宮駅までタクシーを使うと、渋滞が一切なくても、1時間と1万2千円かかる。某タクシー会社のサイトには1万円と書いてあるが、どう考えても嘘だ。2時間のトレーニングとタダか、1時間の着席と1万2千円か、お好きなほうをどうぞ。荒天だったり、台風が接近していて1分を争っていたりすれば、後者の価値はあるかもしれない。