中里一日記

[先月の日記] [去年の日記]

2000年6月

6月30日

 L作戦の今後の展開については、とりあえずニュースグループへのポストを目指す予定である。
 ニュースグループにポストするには、部屋のどこかに埋もれて久しいHighway Internetのパスワードを発掘しなければならない。ニュースグループの状態をよく見抜き、場合によってはjapan以外のところに英語でポストする必要があるだろう。金目当てと思われて反発を買わないように、プレゼンテーション(文面)をよく検討しなければならない。
 まったく手間のかかる話だ。しかし、反応がかんばしくない場合にはフリーUNIXのファイルシステムにHalfDiskを実装してみせる必要があるので、それに比べればなにほどの手間でもない。

6月29日

 プップクプー(ラッパの音)。
 本日をもってL作戦は第3段階に突入した。
 L作戦とは、一言でいえば、ソフトウェアによってHDDの回転数を仮想的に2倍にする技術、名づけて「HalfDisk」の開発である。詳細はこちらに用意したので、興味ある読者は読まれたい。試験用のドライバ類はこちらである。
 そして第3段階とは、HalfDiskを世に知らしめる作業である。特許の出願を終えたので、一般公開できるようになったのだ。
 いくぜ10億円。

 以下は自慢話である。もしすべてが空しく潰えたときに、読み返して微笑むための文章と考えられたい。
 世界中の人間のほとんどは私よりも馬鹿にちがいないと密かに信じている私は、読者諸氏にちょっとしたチャンスを与えた。
 去年7月31日のこの日記の後段を参照されたい。シークタイムを回転待ち時間+ヘッドの移動時間の意味で使っているのでわかりにくいが(私が前に読んだ文書ではシークタイムをこのように定義していた)、これはHalfDiskの原理に近い。ついでに言えば、これは私の予想どおり、すでに特許を取得していた。
 もしかして読者諸氏のなかには、特許庁のデータベースを調べた向きもあるかもしれない。IBMのあの特許にたどりつき、「やっぱりだめか」とあきらめたのだろうか。だが私はあの日記を書いたとき、すでにHalfDiskの考えをまとめていた。
 あるセクタの読み込みが終わった瞬間、ヘッドはそのセクタの直後にある。簡単なことだ。
 Pentium以降のCPUにあるRDTSC命令を使えば、分解能数クロックの時計が参照できる。これも簡単だ。
 HDDの回転数は各HDDで一定である。わかりきったことだ。
 HDDの地図データのサイズおよびアクセス速度。計算してみればわかることだ。
 これらの要素をすべて考えあわせれば、去年7月31日のこの日記を読んだときに、これがソフト的に実現可能だとわかるはずである。
 私はぐうたら者のうえ、L作戦を実行できるだけの資金もなかったので、「そのうち誰かが気づくだろう」というくらいの気持ちで去年7月31日の日記を書いた。
 だが、半年待っても一向にその気配がない。そうか、やはりこの世は私よりも馬鹿な奴ばかりか。なら私が10億円もらおう。うまい具合にL作戦の資金も手許にある――というのが今年の4月のことだった。
 かくして今日に至る。
 といっても、私はまだ10億円を手にしたわけではない。世には、大手メーカーからこぞって黙殺され、大手メーカーの広告料で操作されたマスコミに偽物・まがい物というレッテルを貼られて売れなくなり、すっかり忘れられて特許権が切れた頃に大手メーカーに採用されて大ヒットする、そういう発明もあるのだ。
 L作戦は現在も進行中である。

6月28日

 名人戦で佐藤名人が負けたので、これから1年間はプロ棋戦に触れないことにした。

6月23日

 選挙が近いので、先月7日にあげた表を再掲する。

山口 繁 合憲
金谷 利弘 合憲
北川 弘治 合憲
亀山 継夫 合憲
奥田 昌道 合憲
元原 利文 違憲
梶谷 玄 違憲

 これは、総選挙における一票の格差3倍が合憲か否かを争った裁判において、最高裁裁判官のそれぞれが示した回答である。
 要するに、最高裁裁判官の信任投票では、「元原 利文」「梶谷 玄」以外には×をつけていただきたい。覚えるのがどうしても面倒なら、全部×でもかまわない。

6月21日

 新井素子の「チグリスとユーフラテス」を読んだ。
 新井素子の作品を読む場合には、必ず受け入れなければならない前提条件が一つある。それは、新井素子の小説世界はすべて、「‥…絶句」の主役・新井素子のインナースペースによって汚染されている、ということだ。
 今回、私はこの前提を受け入れることができなかった。
 喜ばしいことか悲しむべきことかはわからないが、どうやら私は、第13あかねマンションの住人ではないらしい。
 ところで「スジャータ・Y」という名前が非常に気になるのは私だけだろうか。「スジャータ」という人名は寡聞にして聞いたことがない。…と思って調べてみたら、断食で倒れた釈迦に乳粥を与えた少女の名が「スジャータ」だという。なるほど。

6月19日

 アキバにi815が出回っている。
 20世紀最後の年、人類はついにISAバスにとどめを刺す日を迎えたらしい。めでたい。

 Windows版の「あやかし忍伝くの一番」を入手した。が、多忙につきインストールしていない。

6月18日

 比喩すべきか、それとも比喩されるべきか、それが問題である。
 私の部屋の散らかりようと、日増しに狭まる利用可能空間と、片付けへのプレッシャーと、片付けの面倒さを思って重くなる気持ちとが織り成すこのクアドラント・バインドな状況は、なにに喩えればいいのか。
 やはり、この状況は、なにかを比喩すべきものであって、なにかによって比喩されるべきものではなさそうな気がする。きっと私はいつか小説のなかでこう書くのだ。「部屋が散らかってきて狭くなってきて、片付けなきゃなーとは思うものの散らかってるから面倒だなーと思い、だからといって自分で片付けないかぎり散らかりようが減少することはありえないわけで、そういうことを考えながら手をこまねきつつ、今日もまたちょっと散らかして一日過ぎてしまった、そういう感じ」と。

 L作戦は第3段階への準備を完了した。あとは、信号が青に変わるのを待つばかりである。

6月17日

 今日の結論:
 「With You」の菜織と真奈美は、乃絵美の引き立て役である。
 (人によっては、「乃絵美」の部分に「チャムナ」「冴子」「ミャーコ」が入る)

 それにしても、ヒロインを引き立て役に使うことを思いついた人間の才覚には頭が下がる。まさに逆転の発想、コロンブスの卵だ。

6月16日

 ヘレン・ヴァン・スライクの「乱れた旋律」を読んだ。いわゆるソープオペラのノベライズか原作か、とにかくそういう小説である。ハーレクインよりも5倍がた長く、中身も5倍くらいは詰まっている。
 誠実さを技術力で割った値、名づけてS/T比なる値でいえば、およそ最低ランクに属する。主人公が妊娠中絶の瀬戸際に立たされたときに都合よく流産する展開(妊娠中絶の宗教的問題について広い読者のコンセンサスを得られないと踏んでの日和見主義でしかありえない)を見て眉をひそめない人間とは、あまり友達になりたくない。サンリオから出たこの翻訳はともかく、底本はさぞかし売れただろう。

6月15日

 昔読んだSF、たしかティプトリーだったかに、広告が法律によって厳しく規制されている未来社会の話があった。
 いつの日か、社会は広告と対決する日が来ると、ティプトリーは感じていたのだろう。
 ティプトリーの時代にあっては、社会は法のほかに広告に対抗する術を持たなかった。が、今の私たちは、技術によって広告に対抗する力を得た。たとえば、HDDへのTV録画によるCMスキップである。
 当然、ここに書かれているように、広告主側の抵抗もなされている。パソコン用MPEG2ハードウェアエンコーダがさっぱり出回らないのも、彼らの抵抗によるものかもしれない。
 だが、どんな種類のものであれ、ラッダイトが最終的な勝利を得ることはない。
 もしあなたが広告業関係者であるなら、コーヒーを飲み、ソファにかけ、落ちついて考えてみるべきだろう。いったい誰が勝利しつつあり、誰が滅びつつあるのか。
 読者諸氏がうまく立ち回られることを祈る。

6月14日

 今日のソ連:
 PHP研究所「岐路に立つソ連」(1986年4月発行)
 ゴルバチョフがプチブル化するとはまったく予想できなかった時期の本なので、その限界内で妥当な認識と予測をしている。ゴルバチョフのプチブル化がいかに重要な歴史的事件であるか、この本を読めばわかるだろう。

6月13日

 ネットは共産主義社会である、というヨタ話を聞いた。「能力に応じて書き、必要に応じて読む」。とすると、楽園はすでに、ここにあるらしい。
 たしかに偉大な楽園である。自由や豊かさと共産主義が、両立可能であることを証明してくれている。ただし、一つのパンを百万個に割ってもなお元の大きさを保つ世界において、という条件つきだが。

 L作戦、本日は21120円の赤字。累計額89386円。

6月11日

 スヴェルドロフスク特派員からの情報によれば、アメリカとイスラエルが共同開発中のレーザー砲(地上発射型・化学レーザー)が、弾道ミサイルの撃墜実験に成功したという。
 NMDの次はこれを売りつけられるにちがいない。金を出すなら最初からこちらにすべきだ。技術としての袋小路が明白なNMDよりはるかに潰しがきくし、イメージ的な圧力も大きい。

6月10日

 「ゴルバチョフ回想録」を読んだ。
 副題をつけるなら、「または、私はいかにしてプチブルになり、民族主義ボリシェヴィキに国を奪われたか」といったところか。
 プチブルが己の階級的責務を全うすることは、時として、あまりにも難しい。

 先月号の電撃G'sマガジンを読んでいたら、ハピレスのキャラ(三世院やよい)の身長とスリーサイズに目がとまった。身長163cmウェスト54cmとある。7月号を見ると、身長154cmウェスト50cm(四天王うづき)。
 生身なら、コルセットで締め上げた状態でのウェスト47cmが伝説になるのに、コルセットなしの50cmはいくらなんでもだ。身長163cm前後の健康な日本人若年女性でウェストが60cmを切る人はたぶん5%がいいところだろうから、54cmなら10万人に一人レベルか。
 芸能界でもギャル業界でも、ウェストの数字はデフレが激しい。どこかでデノミを行わないと、数字としての意味がなくなってしまうのではないか。統計データを元に、飛び抜けて細身でないかぎり2シグマ範囲、飛び抜けていても3シグマ範囲に収まるように設定すべきと考える。

6月9日

 L作戦。
 …時子、永遠はもう目の前なんだ!

6月8日

 ペトログラード・ソヴィエトからの情報によれば、シーズウェアの「学園お嬢様奇譚」というエロゲー(8月発売予定)が、女同士物として注目に値するのではないか、という。
 サイトの紹介を見ると、天才で貴族の主人公が木偶人形相手に修行する、というあたりにシャルル(藤本ひとみのマリナシリーズ)的な雰囲気が見てとれなくもない。ためしに、「女シャルル+女好き+エロ」という設定で読みを入れたら、なかなか面白い筋が見えた。シャルル型の主人公は女同士物に向いているかもしれない。
 システム的には、テキストに振り仮名がつくのが面白い。まさか、この日記に書いたこと(1998年11月11日参照)がめぐりめぐって…というわけではないだろうから、誰しも考えることは同じだ。ただ、「せっかくの機能だから使わないともったいない」とばかりに振り仮名を濫用する可能性がきわめて高いような気がする。かつて、富士見文庫が無用な振り仮名をつけまくって、倉田悠子の名文を破壊していたことを読者諸氏はご存じだろうか。

6月5日

 しばらく超ハから離れていたので、全体像を再検討してみた。
 4番・望にはかなり問題があるような気がする。相当の割合の読者にとっては、宣戦布告を意味するくらい嫌なキャラだろう。なにしろ歩くヒロイン特権にして天性の権力闘争家である。
 そういえば、どういうわけか私の書く話は、主人公クラスがこぞって嫌な奴になる。うーむ。

 電撃G'sマガジン7月号のキャラ人気ランキングを見ていたら、Memories Offは双海詩音(孤独・きりり・ストレートロング)が圧勝で、伊吹みなも(病弱・明朗・ツインテール)はランク外だということに気づいた。
 …やはり望、ダメかも。

 「帝都のユリ」は、パッケージ裏の文章を読んで、必要なしと判断した。

6月4日

 L作戦は第2段階の終わりが見えてきた。現時点では、遅くとも6月15日までには第3段階に突入できると予想される。

 いったん挫折していた「とらいあんぐるハート」に再挑戦している。
 作戦思想の偉大さは感じるものの、どうも私には合わない。といっても、もしこれが女同士物ならクリック猿になりそうだが。

6月2日

 「帝都のユリ」に関する情報を求む。

 眠い。きゅう。

6月1日

 L作戦のデバッグ中に、リーフの「まじかるアンティーク」をやった。スフィーLv3クリア。
 企画・演出90点、実装70点、文章10点。
 「マリーのアトリエ」の、魔法を骨董に置き換えたのは鋭い。魔法より骨董のほうがはるかに集め甲斐がある(ような気がする)。ちびスフィーが動き回るのを眺めて楽しむ、という案と演出もいい。スフィー×3(大人・子供・中間)という案には唸らされた。
 実装には問題がある。デザインや動きはいいのに、DirectXを使わないせいで意味もなく重い。とはいえ、開発上の都合もあるので、一概に悪いとは決め付けられない。
 文章は、中島梓先生の「小説道場」を十回読んでから深く反省すべきだろう。筋に入ったときの破壊力で勝負するタイプなのだろうか。

 

今月の標語:

…………やあ、兄くん…………。


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