落ち着き払った姉歯氏の顔を見ていると、考えさせられる。こういう秘密を告白するときには、どんな顔がふさわしいのだろう。 想像してみた結果、あれでいいのだということになった。多少の想像力がある人間なら、あれ以外の反応はできない。本人にとっては、すべて予想済みの展開なのだ。飽き飽きしている、という顔が正しい。 同じような例として、大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失事件(井口俊英『告白』)がある。巨額の簿外損失を隠し続けていた本人は落ち着いたものだった。