「人の痛みがわかる」という表現が流行りはじめたのは、いつからだろう。ここ数年のような気がする。
こういう表現はいったん慣用句になってしまうと、あまり深く意味を考えなくなってしまう。私もついこのあいだまでは、この表現に目くじらを立てることはなかった。が、今は、猛烈に腹立たしい。
先週の金曜日から腹痛が続いている。入院中にはいろいろ辛い目にあったが、この痛みは、入院中のどの辛さにも劣らない。この日記を書いているいまも、痛みが続いている。おかげで痛みを、過去の記憶としてではなく、現在進行形で把握できる。
現在進行形の痛みは、わかるものではない。襲われるものであり、耐えるものだ。「人の痛みがわかる」などという表現を使う輩は、なにひとつわかっていない。