2006年06月21日

少コミを読む(第3回)

 少コミ第14号を読んだ。
 新連載ラッシュである。第12号から1本、第13号から2本、この第14号から2本。予告によれば第15号から2本、そして第16号から少なくとも1本。ほとんど総入れ替えだ。
 これだけ一度に始めれば、半分はすぐに打ち切りだろう。どれがどんな順番で打ち切られるかが注目である。現在の予想は以下のとおり。
 
少コミ新連載打ち切りレース:2006年第14号(6月20日発売)
◎ 山中リコ『桃色パンチ』
○ 悠妃りゅう『すぺしゃる・ダーリン』
△ 車谷晴子『美少年のおへや。』
 
 さてレビューにいこう。

 
・しがの夷織『めちゃモテ・ハニィ』新連載第1回
 主人公に特殊な行動パターンがある。すなわち、好みの男を見ると逆上して、性暴力に及ぶ。逆上が収まると、事のヤバさに耐えられず逃走する。この行動パターンに妨げられて今まで男ができなかったが、逆上と逃走のサイクルにもめげない男とついに出会った――という第1回である。
 よい点として、ネームがよく練れている。気になる点として、彼氏役に味わいが欠ける。男が味気ないのは少コミ全般に共通する欠点だが、しがの夷織は少コミの中ではだいぶ腕の立つほうだ。この強みを生かさないと、面白くするのは難しいだろう。
 採点:★★★☆☆
 
・水波風南『蜜×蜜ドロップス』連載第43回
 次回最終回だというのに、「彼氏のご家族に認められるために頑張りました・なんとか乗り切れました」に終始している。
 そういえば、『小悪魔カフェ』の次回最終回もかなり辛かった。次回最終回というのは難しいものなのかもしれない。
 採点:★☆☆☆☆
 
・車谷晴子『美少年のおへや。』連載第2回
 あらすじ:百合オチ。ほかにはなにもない。
 ネームは前回よりは頭に入るが、これは私が百合オチをたくさん読んでいるせいかもしれない。
 採点:★★☆☆☆
 
・山中リコ『桃色パンチ』新連載第1回
 面白いまんがはみなそれぞれ違っているが、つまらないまんがはお互いによく似ている。共通点のひとつが、「共感することを禁じられた悪役」だ。
 TVの時代劇の悪役には共感できる。彼らはみな色と金を求めている。色と金に共感できないほどの聖人は、おそらくTVなど見ない。
 だが一体どういうわけか、つまらないまんがの作者は、別の道をゆく。悪役に共感するのは絶対にいけないと思い込んでいるのかもしれない。それにしても、いろいろな方法があるだろう。
・そもそも悪役を出さない
・「規則だから」「命令だから」で行動するロボットのような奴
・「宇宙人が電波で俺を操ってるんだ」というような気違い
 だが一体どういうわけか、まるで判で押したように、「共感することを禁じられた悪役」を出す。
 理由はわからない。もしかするとそれが一番簡単なのかもしれない。安易な道をゆくのが好きなら、まんが家のような茨の道はとうていお勧めできないが。
 この作者が、まんが家として成功する可能性は、万に一つもないと断言する。
 採点:☆☆☆☆☆
 
・咲坂芽亜『ラブリー・マニュアル』連載第2回
 あらすじ:主人公が「好き」と言ったとたん、彼氏役がなびいてきた。
 前回も今回も、主人公は「モテ」のために学校側と衝突している。2回続けてやったからには、なにか重要なことなのだと思うが、扱いが小さい。伏線かもしれない。
 「モテ」は体制的な価値だ。学校も体制だ。だから、主人公が学校側と衝突するのは、2つの体制のあいだの代理戦争といえる。空虚ですさんだ戦いなのに、どうも作者にはそのことがわかっていないように思える。
 さて余談だが、体制とはどんなものか?
 体制はイメージをふりまく。学校という体制は、「勉強がよくできれば幸せになれる」というイメージをふりまく。モテという体制は、「いい男をつかまえれば幸せになれる」というイメージをふりまく。ソ連共産党という体制は、「よく働けば幸せになれる」というイメージをふりまく。体制のふりまくイメージのなかでは、各個人の事情はまったく考慮されない。
 体制は約束を与えない。約束を破りつづける人は信用をなくすが、体制は約束を与えない。だから反例をいくら積み上げても、体制のふりまくイメージは汚れない。「勉強がよくできたのに不幸になった」「モテたのに不幸になった」という反例は、体制にはなんの影響も及ぼさない。
 採点:★☆☆☆☆
 
・くまがい杏子『お天気注意報・』読み切り
 主人公が留年寸前のピンチ、それを助けてくれる秀才の彼氏役、という話である。
 いろいろ光っている。ネームの流れもいいし、画力も確かだし、彼氏役(メガネくんだ)も流麗にかわいく描けている。そしてなにより、魅力がある。16号から連載が始まるらしい。楽しみだ。
 採点:★★★★★
 
・新條まゆ『愛を歌うより俺に溺れろ!』連載第10回
 ブラック秋羅の悪行の現場にたまたま踏み込んでしまった水樹が、悪行を止めさせる。ブラック秋羅の悪っぷりに怯えつつも惹かれてゆく水樹――ではなく、そこはあっさり流して、普通にいちゃいちゃしている。
 さすが新條まゆ! おれたちに思いつかない事を平然と描いてのけるッ そこにシビれる! あこがれるゥ! ……と言いたいところだが、さすがにこれは新條ワールドに入れない。ブラック秋羅の悪はかまわないが、それへの水樹の反応があまりにも辛い。
 採点:★☆☆☆☆
 
・池山田剛『萌えカレ!!』最終回
 (「クララが立った!」風に)新が勝った!
 というわけで私の予想(というか願望)が実現した。長生きすると人間いいことがあるものだ。
 ラスト3回しか読んでいない私が言うのもなんだが、納得のいく最終回だった。拍手。
 採点:★★★★☆
 
・青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』連載第21回
 他に男を作ろうか――というのは叙述トリックで、真の彼女役(繭)は動いておらず、ライバル(照)の占有力の強さを思い知らされただけだった。照もここまで持ち上げられたからには、ただのダシでは収まらないだろう。今回はまだ照の強みは出てこない。「入院患者は寂しいから」と言い訳をしていたが、おそらくフェイクだ。
 今回はネームがぎこちない。どうやら作者は、仕掛けるのはうまいが、手をつなぐのはそれほどでもないらしい。
 採点:★★☆☆☆
 
・藍川さき『ぜんぶ、君のモノ』読み切り
 ネームがあまりにもひどい。編集者は本当にこのネームにOKを出したのだろうか。1ページ目でダメとわかるネームを蹴れないとは、少コミ編集部になにが起こっているのだろうか。
 採点:☆☆☆☆☆
 
・悠妃りゅう『すぺしゃる・ダーリン』連載第3回
 「自分の男はモテる→私もモテないと愛想をつかされる」という謎の思考回路により主人公が空回りしている。
 今回はネームが悪い。連載で、頭を使う時間がなくなった結果だろうか。
 採点:★☆☆☆☆
 
 今回は付録が別冊まんがなので、それも一言ずつ。
 
・久遠アリス『夏色★CUTE BABY』
 無難、つまり見どころがない。
 採点:★☆☆☆☆
 
・藤原なお『ラブ・カフェ』
 動機と心理の整合性がおかしい。
 採点:☆☆☆☆☆
 
・白石ユキ『ジェントル☆マニア』
 秋葉原は見て描こう。
 採点:☆☆☆☆☆
 
・福山ゆき『キミにはナイショ』
 素直な感じがする。
 採点:★☆☆☆☆
 
・真村ミオ『その先の恋の味』
 主人公が変でいい。
 採点:★★☆☆☆
 
・天野まろん『スパイシー★レシピ』
 彼氏役が『かわいいオレ様』(第12号掲載)と似たようなオレ様なのがひっかかる。
 採点:★★★☆☆
 
第4回に続く

Posted by hajime at 2006年06月21日 04:52
Comments