誰のどんな言葉か思い出せないが、うろ覚えで引用する。「発見とは、未知の大陸にたどりつくことではなく、新しい物の見方をすることである」。
少コミを、新しい見方で読もう。
私はいまのところまだ、これといった新しい見方を発見できていない。精進あるのみだ。
さて、第22号のレビューである。
・悠妃りゅう『恋するふたりの蜜なやりかた』新連載第1回
あらすじ:地味な主人公が運に恵まれて、華やかな彼氏役(嵐)とつきあいはじめる。
読んで素直に頭に入る。これといった欠点はないものの、彼氏役のアピールが足りない。また、3回連載なのに、次回へのヒキが見当たらない。本誌巻頭のプレッシャーに手が縮んだか。
採点:★☆☆☆☆
・池山田剛『うわさの翠くん!!』連載第6回
あらすじ:振られ役(カズマ)の純情と恋心をアピール。
カズマのアピールは、この作品の柱だけあって、うまく機能している。振られ役に魅力がないと、こういう話は成り立たない。
が、主人公(翠)の魅力がいまひとつアピールできていない。
翠はとんでもないことを平然とやってのける。男子校に潜入したり、男子校の制服姿のままで女物の服を買って着替えたりしている。そのすごさが、いまひとつアピールしきれていない気がする。
採点:★★★☆☆
・車谷晴子『アイドル様の夜のお顔』連載第2回
あらすじ:理想のアイドル(ワイルド系)のそばにいて、いい目をみる。
彼氏役に言い寄ろうとする女をいい加減に描いたうえに、彼氏役がその女を貶める――よくあるパターンだが、最悪のパターンでもある。
これのどこがどう話になっているのか、今回もわからなかった。
採点:☆☆☆☆☆ 本当はもっと低い。
・青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』連載第28回
あらすじ:前回に引き続き、繭と逞が再接近。
話の旋回軸がまだ見えてこない――と前回と同じではつまらないので、もう少し詳しく。
この作品の開始時点では、「逞は遠からず死ぬ」がヒキの材料だった。単純だが強いヒキだ。そのヒキが、照の死によって、どんな意味合いに変化したのか? それがまだ見えてこないので、「旋回軸が見えない」というわけだ。
また、「旋回軸」の概念について。
同じヒキで延々とひっぱりつづけるのには無理がある。が、ヒキを別のものに取り替えるのもまずい(彼氏役を取り替えるようなものだ)。ヒキの連続性を保ちながら方向を変えてゆき、しかも全体としては一貫性のある動きをさせたい。そこで、ヒキで直線にひっぱるのではなく、円弧にひっぱる。その円弧の中心が旋回軸だ。
採点:★★★☆☆
・千葉コズエ『7限目はヒミツ。』新連載第1回
あらすじ:転校を機に、無理めなイメチェンを図った主人公。その孤独に気づいていて、友達になる彼氏役。
少コミには珍しく、彼氏役が癒し系だ。
作者は新人らしいが、新人離れした画面を作っている。たとえばロングの使い方だ。ネームもいい。なにげない説得力に満ちている。いろんなものが、実によく伝わる。
素晴らしい。好きだ。
採点:★★★★★
・水波風南『狂想ヘヴン』連載第4回
あらすじ:乃亜が彼氏役(蒼以)の占有を主張するため水泳部廃部工作をバラす。その隙に、当て馬(夏壱)が主人公に言い寄る。
水泳部廃部工作が明らかになったことで、蒼以が別の顔を見せる準備が整った。
採点:★★☆☆☆
・みつき海湖『告白禁止令!』読み切り
あらすじ:クールな彼氏役を自分に惚れさせようと悪戦苦闘する主人公。
私は、クールな彼氏役にはあまり感心しないたちなのだが、話を盛り上げるのに好都合であることは認めざるをえない。
読んで素直に頭に入るし、話にもなっているが、それ以上のものがない。
採点:★☆☆☆☆
・織田綺『LOVEY DOVEY』連載第8回
あらすじ:幼馴染(敬士)が微妙にアピール。
ヒキらしいものが見当たらないのが気になる。
採点:★★☆☆☆
・しがの夷織『めちゃモテ・ハニィ』連載第9回
あらすじ:彼氏役(大輝)と同棲を始める主人公。
いちゃいちゃしている。次回、この楽園をどう壊すか。
採点:★★☆☆☆
・水瀬藍『天然×恋愛÷モデル』読み切り
あらすじ:怖そうな彼氏役は実はいい人。
登場人物の心理、画面、ネーム、あらゆるものが図式的で、ぎこちない。
採点:★☆☆☆☆
・新條まゆ『愛を歌うより俺に溺れろ!』連載第18回
あらすじ:馬鹿話。
今回はちょっと新條パワーが出ていた。
採点:★★★☆☆
咲坂芽亜『ラブリー・レッスン』連作読み切り
あらすじ:守りの過剰メイクから、攻めのナチュラルモテメイクへ。
話が散漫で、画面のメリハリが弱い。連載で息切れしたか。
採点:★★☆☆☆
第12回に続く