少コミのふろくについて。
月2回刊ではネタ出しも大変だろうと思うが、当たり外れが大きい。今号(第23号)は髪留めだ。私的にはハズレだ。前号のレターセットは当たりだった。次号はボールペンらしい。文具系はあまりハズレがないので嬉しい。当たりといっても実用にするわけではないのだが。
希望としては、中国の人件費が安いうちに、フィギュアをやってくれないかと思っている。少コミまんがの彼氏役をうまく立体にできる原型師がいるかどうかが問題だが。
では第23号のレビューにいこう。
・くまがい杏子『はつめいプリンセス』連載再開第7回
あらすじ:主人公と彼氏役(はじめ)がデートを強制される。
「主人公の身に危険が迫る→攻撃的に対応する彼氏役」というパターンをやっている。しかしこのパターンは、彼氏役が主人公を陰から見守っている場合に使うものだ。今回のように、彼氏役が主人公をエスコート中の場合には成立しない。エスコートされているはずの主人公の身に危険が迫ること自体、彼氏役のエスコートになんらかの問題があったことを示している。危険というのが大地震のような天変地異ならいいが、この話はそうではない。
文部科学省が「文部化学省」なのは、意図してやっているのだろうか。
採点:★★★☆☆
・しがの夷織『めちゃモテ・ハニィ』連載第10回
あらすじ:彼氏役(大輝)に魔性の女が近づくが、難なく切り抜ける。
まだしばらくイチャイチャを続けるつもりかもしれない。大輝は内心の読みづらいサスペンス型の彼氏役なので、接近戦には向かない気がする。二人を引き裂く話をやってほしい。
採点:★★☆☆☆
・悠妃りゅう『恋するふたりの蜜なやりかた』連載第2回
あらすじ:彼氏役と二人きりになりたい主人公、けれど一歩踏み出すのが難しい。
くまがい杏子にも思うことだが、背景をちゃんと描けないと、恐ろしく不自由な画面構成になる。青木琴美や千葉コズエがうまく背景を使っているのと比較してみると、よくわかる。
採点:★★☆☆☆
・青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』連載第30回
あらすじ:逞と繭がデート。
こういう展開はじつにうまい。それはもうわかっているので、照の問題にうまくオチをつけて終われるかどうか、そこだけが見どころだ。
採点:★★★★☆
・伊吹楓『小悪魔☆パニック』読み切り
あらすじ:内気な主人公に二重人格が発症、新しいほうは攻めキャラだった。
絵が流麗で画面構成もいいが、話運びがぎこちない。
採点:★★★☆☆
・車谷晴子『アイドル様の夜のお顔』連載第3回
あらすじ:恋の盛り上げ役が登場、彼氏役をやきもきさせる。
今回は一応話になっていた。
3回で終わりと思っていたが、続くらしい。
採点:★☆☆☆☆
・池山田剛『うわさの翠くん!!』連載第7回
あらすじ:女の姿でファミレスでバイトする主人公。サッカー部の仲間にバレそうなところを切り抜けたあと、彼氏役(司)がやってくる。
男子校潜入モノのお楽しみ、バレそうなところを切り抜ける展開だ。どんどんやってほしい。
採点:★★☆☆☆
・千葉コズエ『7限目はヒミツ。』連載第2回
あらすじ:彼氏役(順)と接近、主人公が告白。
「心の闇」という日本語のへぼさには強烈なものがある。避けてほしかった。
話を滑らかに進め、画面構成に見所を作り、彼氏役の魅力をアピールする――少コミ作家は忙しい。
今回は画面構成が割を食った。アピールもいまいちだ。恐れることなく話を練りこんでほしい。
採点:★★★☆☆
・新條まゆ『愛を歌うより俺に溺れろ!』連載第19回
あらすじ:主人公(水樹)の学園祭。主人公と彼氏役(秋羅)が王子様の役を争う。
新條パワーが出ている。いいぞ、もっと、もっとだ!
採点:★★★★☆
・織田綺『LOVEY DOVEY』連載第9回
あらすじ:彼氏役(芯)がいい男ぶりをアピール。
ツンデレの芯が普通に有能・万能な男をやっている。
少コミを読んでいると、考えさせられる――有能・万能を避けつつ、いい男ぶりをアピールするには、どうすればいいか。これはおそらく、現在の少コミにとって重要な問題だ。
たとえば、今年の第20号に掲載の藍川さき『姫君革命』では、たおやかなはずの彼氏役が、なんの前置きもなく運動部レベルのバスケの腕を発揮したりする。「いい男=万能・有能」という枠に縛られることで起きた不条理展開だ。
今年の第16号に掲載の陽華エミ『独占LOVEスクープ!』は、回答例のひとつになっている。
あと、内容とは関係ないが、モブを描いているアシスタントの絵がちょっと面白い。
採点:★★★☆☆
・紫海早希『さとうさん恋愛革命!!』読み切り
あらすじ:意地悪な男が実は主人公のことが好きで、くっつく。
画面構成はそこそこできているはずなのに、話がすんなり頭に入らない。いろいろ整理が足りない気がする。
採点:★★☆☆☆
・藤原なお『嘘つき恋愛マニュアル』読み切り
あらすじ:男にふられた主人公がよりを戻そうとホストの指導を受けたら、よりを戻すかわりにホストのほうとくっつく。
足りないところはないはずだ。画面構成はやや単調だが十分、話はわかるし頭に入る、彼氏役の魅力もアピールできてる。
が、足りない。なにかしら気に食わない。人物の表情だろうか。
採点:★★☆☆☆
第13回に続く