2007年02月08日

Jenifer Tidwell『デザイニング・インターフェース』(オライリー・ジャパン)

 この本は、本屋でぱらぱらと眺めるときにはお買い得に見えるが、驚異的なまでに役に立たない。
 
驚異その1:文章の量が過剰で、内容が乏しい
 これほど密度の薄い文章をよくこれほど大量に書けるものだと驚く。具体的な例が非常に少ない。画像が具体例のつもりだろうか。必要なのはエピソードだ。ひとまとまりのストーリーだ。
 
驚異その2:アンチパターンが皆無
 普通、UIは減点法の世界だ。あまりにも素晴らしいデザインなので細部の欠点など霞んでしまう、ということは滅多にない。
 常識どおり平凡に作ればいい、というものでもない。常識どおり平凡に作ったものが、とんでもない減点になることがある。その常識は、製作者の常識であり、ユーザの常識ではないからだ。
 減点法の世界では、アンチパターンの出番だ。人間はみな同じように間違える。ここここで紹介されているような、印象的な失敗例が必要だ。それがない。少ないのではなく、ゼロだ。
 (どこかを見落としているかもしれないが、それは印象的な例ではなかったということだ)
 
 というわけで、本書は驚異的なまでにお勧めできない。上でご紹介したJoel on Softwareの『プログラマのためのユーザインタフェースデザイン』を読むほうが、百倍は役に立つし、読む時間はずっと少なく、しかも無料だ。
 7andyへのリンクは貼っておくが、「この顔を見たら地雷回避」というためのものだ。間違っても購入なさらないように。7andy

Posted by hajime at 2007年02月08日 01:02
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