2007年04月23日

少コミを読む(第22回・2007年第10号)

 少コミは2012年にも存続しているだろうか。
 このレビューを開始したときには、考えるまでもなく、存続しているだろうと思っていた。しかし今では、かなり怪しいと思える。たとえ存続していても、BLに鞍替えしていそうだ。
 少コミの誌面から漂ってくるこの閉塞感、未来のない感じは、一体なんなのだろう。
 現象としては、彼氏役の傾向が閉塞している。『快感・フレーズ』時代から大して変わっていない。恋愛や性の観念はずいぶん変化したのだから、彼氏役も変化すべきなのに、していない。時代遅れの観念を生きる遅れた人々(いわゆる田舎者)のための雑誌になってしまっている。少コミの彼氏役の傾向をがらっと変えてしまうような、強力で新鮮な彼氏役が必要だ。
 では第10号のレビューにいこう。

 
・咲坂芽亜『姫系・ドール』 新連載第1回、ただし以前の連載の続き
 あらすじ:実技の成績が悪く退学処分寸前の主人公。そのため勉強の面倒をみる彼氏役。勉強の最中も、主人公は彼氏役のことが気になる。
 勢いはいいが、味わいに欠ける。人物造形が薄い。
 連載回数が多くなると、人物造形の薄さが響いてくる。少コミには、そのへんの作り込みが弱い作家が多い気がする。
 採点:★★☆☆☆
 
・車谷晴子『極上男子と暮らしてます。』連載第7回
 あらすじ:美形三人組に迫られる主人公。やきもきする彼氏役。
 登場人物が誰も彼も、よくまあここまでと感心するほど、中身が乏しく、影が薄い。
 よい役者は、ほんのちょっとした仕草にも、演技の宇宙を垣間見せる。よいまんがなら、細部まで雄弁に語る。この作者が描くものには、それがない。
 採点:★☆☆☆☆
 
水波風南『狂想ヘヴン』連載第13回
 あらすじ:学校で肝だめし。乃亜の悪だくみを危うく回避。
 ちまちました学園モノをやっている。
 採点:★☆☆☆☆
 
・悠妃りゅう『バタフライ・キス』連載第2回
 あらすじ:彼氏役に助けられながら、容姿のコンプレックスを克服して美しくなろうとする主人公。彼氏役が告白。
 展開がぎこちない。
 旋回軸が弱い。コンプレックス克服と恋を連動させているが、どちらが軸でどちらがドアなのか、はっきりしない。恋が軸になって、コンプレックス克服のためにじたばたするのが王道だが、物語のきっかけがコンプレックス克服なので、王道から外れてしまった。
 採点:★★☆☆☆
 
池山田剛『うわさの翠くん!!』連載第17回
 あらすじ:サッカー部の日常。当て馬(カズマ)が、主人公()の笑顔を守りたいと決心する。
 カズマのアピールタイム。
 いま唐突に気がついたが、私は天真爛漫な主人公が嫌いだ。ドラマがない。
 採点:★★☆☆☆
 
青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』連載第40回
 あらすじ:の病気をアピール。が妹を寮内に連れ込んでいたのが見つかる。
 前半で、逞がセックスのことを考えているのを読んで、素直に思う――少女まんがの男はさすがに優等生だ。逞は少コミのなかでは比較的出来の悪い、親しみのわくタイプの彼氏役だが、それでもこの優等生ぶりである。人間は理想を抱く生物なのだ。
 話の展開としては、つないでネタを振っただけで、見るべき点はない。次回は頼がメインか。
 採点:★★★☆☆
 
・みつき海湖『とろけるようなキスを奏でて』連載第2回
 あらすじ:メジャーデビューした彼氏役(ガク)は、主人公(音織)との仲を終わったことにして突き放す。ガクに追いすがるため歌手になろうとする音織。それを聞いたガクは、音織をいきなりライブのステージに上げる。
 まんが的な迫力とスピード感のある展開で読ませる。次回どう終わらせるのか見当もつかない。もしかして3回では終わらないのか。
 採点:★★★★☆
 
織田綺『LOVEY DOVEY』連載第19回
 あらすじ:理事長の陰謀を粉砕。
 前回は面白かったが、今回は普通にオチをつけただけだった。
 採点:★★★☆☆
 
新條まゆ『愛を歌うより俺に溺れろ!』連載第28回、次回最終回
 あらすじ:秋羅水樹のお見合いを粉砕。ブラウエローゼンのライブで、秋羅が自分の性別を明かす。
 適当に終わりそうだ。
 採点:★★☆☆☆
 
・藍川さき『キミ☆コイ』読み切り
 あらすじ:よくわからない。
 「主人公は、小学生のとき男に告白して振られた過去がある。その相手の彼氏役に再会。今度は結ばれる」と書けば一応あらすじだが、実際には、まったく話が成り立っていない。旋回軸がない。話がその周囲を旋回するような不変の要素、軸がない。
 採点:★☆☆☆☆
 
・白石ユキ『究極彼氏にヤミツキ彼女』読み切り
 あらすじ:かつては不良で、喧嘩で鳴らしていた主人公。上品な男を好きになったので、過去を隠して接近し、今ではつきあっている。デートの際に過去がばれたが、彼氏役は実は暴力団組長の息子だった。
 ファンタジーなホストを出すのも問題だが、ファンタジーな暴力団はさらに問題がある。ファンタジーなホストのファンタジーっぷりを面白く描くのは簡単だし実際ときどき見かけるが、ファンタジーな暴力団のファンタジーっぷりを描く少女まんがは、あまり想像がつかない。
 採点:★☆☆☆☆
 
くまがい杏子『はつめいプリンセス』最終回
 あらすじ:主人公(しずか)と彼氏役(はじめ)が結婚。TV局が視聴率欲しさに初夜を覗こうとする。さらに作者が作品内に登場して、初夜を読者に見せろと迫る。はじめが両者を追い出して終わり。
 前回の普通の面白さとはうってかわって、異様な最終回だ。
 未来がどうしてあんな不幸なことになっていたのか、その謎解きを鮮やかに決めて、「やっぱり未来は幸せでした」で終わるのかと思っていた。これなら普通に気持ちのいい終わりかたになっただろう。
 が、そんな謎解きはせず、「初夜を読者に見せろ」などという異様なネタを持ってきて終わらせている。もしかして少コミ作家はそんなにも「エロを描け」と圧力を受けるのだろうか、と勘繰りたくなる。
 採点:★☆☆☆☆
 
第23回につづく

Posted by hajime at 2007年04月23日 20:39
Comments
Post a comment






Remember personal info?