ラノベのTVアニメ化はどれだけ売れ行きに効くか? つまり、TVアニメ化による売れ行きの増大はあるのか? もしあるとしたら、どの程度か?
結論からいうと、効く場合と効かない場合がある。効いたケースとしては『いぬかみっ!』がある。
有沢まみずの週間ベストセラーリスト動向をご覧いただきたい。『いぬかみっ!』8巻の時点でR969。このときまでR1200以上の作家に一度も勝っていない。
『いぬかみっ!』のTVアニメは2006年4月に放映開始した。そして2006/04発売の9巻、まずR1292に1回勝つ。2006/08発売の10巻、R1443に勝つ。2006/11発売の11巻、R1227に勝つ。12・13巻は適当な比較対象がないが、順位は高い。14巻、R1242に勝つ。かくして現在、有沢まみずはR1502をマークしている。
効かなかったケースとしては、『護くんに女神の祝福を!』がある。
岩田洋季の週間ベストセラーリスト動向によれば、2006/01/23順位のときR1257。放映半ばの2007/01/15順位でR1126、竹宮ゆゆこ『とらドラ!4』(R1113)に負けている。現在はR1266。まったく効いていない。
また、これほど明瞭なデータではないが、『スターシップ・オペレーターズ』(水野良)は放映期間中に出た6巻がランク外(2005/05/23順位)に終わっている。この2005/05/23順位は、R700台が二人もランクインしているのだから非常にぬるい条件のはずなのにランク外である。もうひとつ例を挙げると、『住めば都のコスモス荘』(阿智太郎)も効かなかったように見える。
なんらかの結論を引き出すにはあまりにもサンプル数が少ないが、こじつけると以下のとおり。
・WOWOWでは効果がない(『護くん』)
・ギャグでは効果がない(『コスモス荘』)
・出来の悪いアニメでは効果がない(『スターシップ』)
アニメ化が効くのは、
・萌え系の原作を、
・そこそこ出来のいいアニメにして、
・地上波で流す
という条件が揃った例外的な場合だけであり、原則としては「ラノベのTVアニメ化は効かない」と結論してよさそうだ。