2007年11月25日

少コミを読む(第35回・2007年第23号)

 一気に追いつく第2弾。第23号。

 
咲坂芽亜『姫系・ドール』連載第14回
 あらすじ:敵役その2(リカ)が彼氏役(蓮二)につきまとい、さらに主人公()にデザイン盗用の濡れ衣を着せる。
 敵役その1は鉄汰。鉄汰は画面の迫力が魅力的な敵役だったが、リカの魅力のなさ、インパクトのなさはひどい。
 採点:★☆☆☆☆
 
・車谷晴子『危険純愛D.N.A.』連載第6回
・あらすじ:敵役(臣吾)が「自分とつきあえ、でないとお前が弟(彼氏役(千尋))に惚れているとバラす」と主人公(亜美)を脅し、亜美は従う。千尋は亜美の真意を問いただす。
 臣吾にもなにか主人公と似た事情があることが暗示された。臣吾を狂言回しに使うだけでなく捌くつもりらしい。そんな余裕があるなら、千尋の女装設定をもっと活用すべきだろう。
 採点:★★☆☆☆
 
・水波風南『今日、恋をはじめます』連載第5回
 あらすじ:彼氏役(京汰)が学園祭を助ける代償として要求されたデートを実行する主人公(つばき)。京汰の巧みな女あしらいで楽しいデートとなり、つばきは京汰を嫌いながら恋していることを自覚する。
 どうもこの作者は、話を作るときに、登場人物の動機や心理をほとんど気にかけないらしい。デート中にわざと頭からコーラをかけられて、激怒して即座に帰るどころかデートを続けてしまい、さらにその相手を「女あしらいがうまい」と思う人間(つばき)などというものを、よくまあ想像できるものだと心底驚いた。もしかしたらDV夫の妻というのはこういう人なのだろうか。
 採点:☆☆☆☆☆ そろそろRichard McBeefと比較したくなってきた。
 
・市川ショウ『HOBBY☆HOBBY』新連載第1回
 あらすじ:彼氏役(和哉)がつれていってくれるデートはいつもラジコンサーキット。主人公(美名)は不満に思っていたが、和哉の暖かい態度に触れて、自分の思いを主張しなかったことを反省する。
 雰囲気はいいが、話の旋回軸が見えない。
 採点:★★☆☆☆
 
池山田剛『うわさの翠くん!!』連載第30回
 あらすじ:当て馬(カズマ)は1点取るものの負傷退場。続いて主人公()も倒れるが、そこで観客席に彼氏役()が現れる。
 読むとMPを吸い取られる、不思議な踊りが続いている。
 採点:☆☆☆☆☆
 
くまがい杏子『放課後オレンジ』連載第7回
 あらすじ:主人公(夏美)は自分の競技(短距離走)で好結果を出す。彼氏役()の競技(走り高跳び)は、天候の変化でピンチに陥る。
 同じスポーツ物でも、こちらは奇妙な踊りではなく、陸上競技のルールや味を生かしたドラマになっている。
 市川先輩が解説役に終始してしまっているのが惜しい。もう一味出せるポジションのはずだ。
 採点:★★★☆☆
 
青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』連載第53回
 あらすじ:が倒れる。
 ナランチャの死亡フラグ(「オ…オレ… 故郷に帰ったら、学校行くよ…」)がオリンピック金メダリスト級だとすると、この死亡フラグは、激安フィットネスクラブで振動ベルトを使っているオバチャン級といったところか。この下には、「TVの健康番組で仕入れた知識を三日だけ実行するオヤジ級」「ジャンクフードをダイエット食品で中和したつもりになっているデブ級」などがある。
 採点:★★☆☆☆
 
・千葉コズエ『ぎゅっとしてチュウ』連載第3回
 あらすじ:彼氏役が疲れ気味と知った主人公は癒し系デートを企画実行する。その最中、塾の急な用事でデートが中断する。彼氏役が用事を済ませて戻ってきて、なんとなく幸せに。
 「次回最終回」の表示がないが、次回で最終回になっている。
 旋回軸がない。少コミ全体でここ何号か、旋回軸のない話が増えてきたような気がする。構成力のある作家が少ないからドラマチック志向はやめよう、という判断でもあったのか。その方針でいい作家も多いが、この作者にそれはもったいないような気がする。
 採点:★★☆☆☆
 
・悠妃りゅう『こい・すた』連載第5回、次回最終回
 あらすじ:お祭りにデートに行く主人公()と彼氏役()。そこへ空の元カノが現れ、空に未練がある様子を見せる。
 ようやく空の元カノが現れたかと思ったら次回最終回。全6回なら、第1回から3回までを2回で済ませる構成にしたほうがよかっただろう。
 3回連載は最初から3回と決まっていると想像がつくが、6回連載はどうなっているのだろう。
 採点:★★★☆☆
 
・織田綺『女王様に命令!』読み切り
 あらすじ:久しぶりに再開した幼馴染(彼氏役)は、皆に愛される俺様男。主人公は彼氏役に命令される日々だが、恋人になりたい。
 彼氏役の傾向(俺様男)が前の連載と同じなのが気になる。
 少コミ作家は全体に、なかなか彼氏役の傾向を変えないような気がする。傍から見るかぎりは有害無益だが、実はなにか統計的な根拠でもあるのだろうか。失われた機会利益を統計的に算出できるほどのデータが集められるとは思えないが。まさか小学館の編集部ともあろうものが、読者からの手紙(「このあいだの××君みたいなキャラを出してください!」)に振り回されて、機会利益の逸失を無視しているとは思いたくない。
 採点:★★★☆☆
 
・ホンゴウランコ『満月の夜に』読み切り
 あらすじ:『銀魂』風の無時代劇(「無国籍料理」の仲間)。主人公は怪盗を追う青年。仮面を剥いでみると、その怪盗は知り合いの少女だった。主人公は怪盗を逃してやり、少女は怪盗をやめる。
 31ページのシリアスで、恋愛要素と無関係な主要要素を入れてきっちりした話に仕上げるのは、無理だと思う。
 採点:★★☆☆☆
 
・水瀬藍『37℃のボーイフレンド』最終回
 あらすじ:友達(奈緒)に自分の思い(千歳が好き)を正面から告げる主人公。奈緒はあっさり身を引くが、「千歳がまた別の女に乗り換えるのでは」という不安にとらわれる。この不安は、これといった理由もなく流されてハッピーエンド。
 「彼氏役がまた別の女に乗り換えるのでは」というネタは少コミ的においしいはずだ。恋愛・ドラマチック・身近な舞台、と条件が揃っている。が、3回連載では消化しきれないだろう。長期連載でもう一度やってほしい。オチは奈緒が「一瞬でも千歳とつきあえてよかった。もし最初からこの結末がわかっていても、きっと同じ選択をしただろうし、きっと幸せだった」と言い、主人公がそれを自分自身のこととして納得する、くらいか。
 採点:★★★☆☆
 
第36回につづく

Posted by hajime at 2007年11月25日 07:43
Comments
Post a comment






Remember personal info?