2008年第1号から表紙の題字が「Sho-Comi」に変わった。流通などに登録されている雑誌名も「Sho-Comi」に変わったのだろうか。誌面からはよくわからない。とりあえずこの連載は本文では「少コミ」のままでいく。
今回は2008年第5号のレビューである。
・青木琴美『彼は行けもしない甲子園を目指す』読み切り
あらすじ:彼女役は野球部のマネージャー。妙な方法で野球部に勧誘された主人公(男)は、彼女役に告白するが振られる。それでも野球部に入るが、彼女役にすでに彼氏がいると知る(実は誤解)。
少コミなのに男主人公で許されるのか、さすが看板作家、と感心した。
小細工のアイディアはそれなりだが、登場人物の造形にひらめきがない。
採点:★★★☆☆
・くまがい杏子『放課後オレンジ』連載第12回
あらすじ:彼氏役(翼)が主人公(夏美)に告白してキス。
「筋肉はウェイトトレでつけるもの」と小学生のうちから教えるべきだと思う。
旋回軸がさっぱり見えない。
採点:★★☆☆☆
・千葉コズエ『24 COLORS』新連載第1回
あらすじ:高校に入学したばかりの主人公(七風)は、美術部の先輩の彼氏役(ちはや)に出会う。
構図に工夫がある。人物の扱いはややぎこちないか。
採点:★★★☆☆
・池山田剛『うわさの翠くん!!』連載第35回
あらすじ:彼氏役(司)の父親の葬儀。主人公(翠)と司がいちゃつく。
また今回も当て馬(カズマ)が忠犬アピールをした。作者は忠犬アピールに思い入れでもあるのだろうか。
採点:★★☆☆☆
・真村ミオ『クラッシュ☆2』連載第2回
あらすじ:敵役(安奈)が主人公(桃華)と彼氏役(淳平)を自宅のパーティーに招待する。桃華は子供の面倒をみて面目を立てる。
子供をお手軽にダシに使う話は嫌いだ。「無能な私だけれど子供の世話だけは」などという人間に世話される子供は不憫だ。
採点:★☆☆☆☆
・織田綺『箱庭エンジェル』連載第4回
あらすじ:事故キスのあと、彼氏役(桃)は主人公(羽里)と距離を置く。苦しむ羽里を見て敵役(飛鳥)は、「陸上競技会で全種目一位を取ったら生徒会役員に迎えよう」と提案する。
話がぎくしゃくしがちな難しい展開なのに、実になめらかにこなしている。
採点:★★★★☆
・水波風南『今日、恋をはじめます』連載第10回
あらすじ:主人公(つばき)は妹(さくら)、彼氏役(京汰)、その友人(西希)と旅行に出る。さくらは京汰に接近を図るが、西希に口説かれて関係を持とうとする。さくらの軽薄な恋愛観に怒るつばきは、さくらに向かって「椿君(京汰)が好き」と宣言する。
さくらや京汰の軽薄な恋愛観は、遠目には痛ましく映る。つばきの慎重な恋愛観のほうが充実していると、遠目にはわかる。だが登場人物たち自身にはそれがわからない。軽薄な恋愛観のほうが楽しそうに思えてしまい、つばきは疎外を感じてしまう――昔ながらの典型といえば典型だが、説得力のある構造だ。
昔ながらの典型そのままなら、慎重な恋愛観がその強さを認められて終わりだ。が、作者はおそらく、それ以上の何かを狙っている。その狙いが楽しみだ。
採点:★★★★☆
・車谷晴子『危険純愛D.N.A.』連載第11回
あらすじ:主人公(亜美)と彼氏役(千尋)がいちゃいちゃする。敵役(臣吾)が不吉な言動を見せる。
臣吾は捌けないかと思っていたが、まだ使う気らしい。
採点:★★★☆☆
・咲坂芽亜『姫系・ドール』連載第19回
あらすじ:彼氏役(蓮二)の店が父親によって潰される。主人公(歩)は蓮二とともに蓮二の父親に会う。父親は蓮二に、「お前が社長を継がないのなら、歩のデザイナーとしての道を閉ざす」と脅し、蓮二は従う。
構図がメリハリや工夫に欠ける。
採点:★★☆☆☆
・蜜樹みこ『アンティークガール』読み切り
あらすじ:主人公はお堅い風紀委員。主人公に言い寄る彼氏役は、ゴシックな洋品店の息子。主人公はゴシックな装いに憧れているが、お堅いイメージのため口に出せずにいる。あるとき彼氏役の店に雑誌の取材がくることになり、主人公は姫役のモデルをさせられる。
作者は、裏切りとその後の関係修復に対する、なにかいわく言いがたい執着があるような気がする。「十分なスキルを備えた鋭敏な読者なら、何も知らなくても、そこに何か直視し難い暗いものが蹲っていることを感知するでしょう」(佐藤亜紀『小説のストラテジー』244ページ)。見える、僕にも見えるよ!
採点:★★★☆☆
・藍川さき『オレ様王子』最終回
あらすじ:悪役が主人公に迫るが彼氏役に撃退される。
どうでもいい。
採点:★☆☆☆☆
第41回につづく