2008年08月12日

Sho-Comi(少コミ)を読む(第50回・2008年第15号)

 2008年第15号のレビュー。

 
・車谷晴子『ぜんぶ ちょーだい』新連載第1回
 あらすじ:主人公(姫恋)は女王様気質で、自分の崇拝者を作るのが趣味。あるとき転校したら、自分にふさわしいかもしれないと思える完璧な男(彼氏役、)を見つける。そこで姫恋は蓮を自分の崇拝者にしたいと望む。
 ツカミはよくても後を続けるのが難しい形だ。この作者はそういう出だしが多い気がする。
 採点:★★★☆☆
 
水波風南『今日、恋をはじめます』連載第20回
 あらすじ:彼氏役(京汰)と主人公(つばき)の仲が学校で知れわたりそうになったのをきっかけに一悶着。つばきは友人(深歩)にだけ打ち明けて、京汰との和解を助けてもらう。その直後、京汰とつばきの仲がバレる。さらに、深歩が京汰を追いかけていたことが明かされる。
 緊張感のある展開。次回が楽しみだ。
 採点:★★★★☆
 
・悠妃りゅう『花嫁さまは16歳 2nd Season』連載第2回
 あらすじ:主人公(珠姫)の幼馴染(当て馬、天理)が登場、アピール。彼氏役(辰牙)と天理が腹黒合戦、辰牙が一歩リード。
 アイディアがよく練れている。
 採点:★★★★☆
 
・咲坂芽亜『ギャル華道』連載第3回
 あらすじ:主人公(つぼみ)は彼氏役()のおかげで華道の楽しさを思い出す。つぼみが楓に告白。
 「師範だなんてウソでした」は、主人公の覚悟をインパクトのある形で描く、秀逸なアイディアだ。
 採点:★★★★☆
 
織田綺『箱庭エンジェル』連載第14回
 あらすじ:夏休み、彼氏役()は仕事で忙しくなかなか会えない。その隙に当て馬(飛鳥)がアピール。桃が時間を作って会いにくる。
 話の旋回軸が見えない。ただの往復運動に見えてしまう。
 採点:★★☆☆☆
 
・山中リコ『なんてバカな恋なんだ』読み切り
 あらすじ:男の友人(彼氏役)のことを密かに思っている主人公。ある日ライバルが現れたのをきっかけに告白。実は彼氏役も主人公のことが好きだった。
 小ネタはそれなりに見られるが、全体に魅力が乏しい。
 採点:★★☆☆☆
 
・千葉コズエ『君と恋におちる魔法で』連載第4回
 あらすじ:主人公(みこ)が友人(男、店員仲間)に恋の相談をしたら、友人は当て馬を演じて彼氏役(奈津)を煽り、行動するように仕向ける。みこが奈津に告白。
 当て馬役のアイディアは面白いが、やや細い。友人の洞察力が無謬になってしまっている。
 採点:★★★☆☆
 
くまがい杏子『放課後オレンジ』連載第22回
 あらすじ:陸上部が海辺で合宿。市川先輩が彼氏役()の家で暮らしていることが判明し、しかも主人公(夏美)はその理由を教えてもらえない。夏美が海で遭難、助けようとした翼とともに洞窟内に取り残される。
 ここでやっと市川先輩を活用しにきた。手順前後の気配がありありだ。
 採点:★★☆☆☆
 
水瀬藍『だから、俺にしなよ』連載第10回
 あらすじ:主人公(陽菜)と当て馬(秀悟)が結ばれる寸前、彼氏役(奏多)のバイク事故の連絡が入る。奏多は記憶喪失を装うが、秀悟はその企みを見抜いて、奏多との暴力対決へと突き進む。
 話の旋回軸がわからない。当面の引き伸ばしを図るだけで精一杯のように見える。
 採点:★☆☆☆☆
 
・麻見雅『運命だっていーじゃない!』読み切り
 あらすじ:彼氏役はもてる男で、ハーレムのように女を集めているが、恋人はいない。あるとき学校のイベントで、主人公と彼氏役は運命のカップルということにされ、学校中が二人をくっつけようとする。やがて主人公と彼氏役はお互いを好きになる。
 一目重い形。この形はデウス・エクス・マキーナを使いたいところだが、少コミでは見たことがないので、禁じ手なのかもしれない。
 採点:★★☆☆☆
 
青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』最終回
 あらすじ:は遺書のなかで、生き延びた際の将来の希望を語る。手術の成否や術後の経過は不明のまま、夢とも現ともつかない光景のなかで、大人になった逞とが子供たちを遊ばせているシーンで終わり。
 最後までの死は活用されなかった。
 照はあっさり死んであっさり消えるのに、は脳死状態で延々と出ずっぱり。この対照からミソジニーを読み取るのは無理筋だろうか。
 脳死状態の昂は社会的に死なず、照の死は逞に傷跡を残さない。こうして並べてみると、死を隠蔽しようとする薄気味の悪い媚びを感じてしまうのは私だけだろうか。
 薄気味の悪いものが見られるという点では価値はあるが、そういうものを見せる芸にはなっていない。
 採点:★☆☆☆☆
 
・藍川さき『委員長の秘メゴト』最終回
 あらすじ:彼氏役(悠人)の古い友人(若頭)が悠人のところへやってくる。主人公(彩乃)が若頭となにかコソコソしているのを見て悠人が嫉妬するが、コソコソしていたのは悠人のためのサプライズパーティーの準備だった。
 連載継続へと手をつなぎながら気持ちよく終わる、巧妙な展開。技術的には感心させられるが、最終回ならではの味わいには欠ける。
 採点:★★★☆☆
 
第51回に続く

Posted by hajime at 2008年08月12日 19:56
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