2009年06月07日

傍観者

 『ラーメン発見伝』というまんがに、「ニューウェーブなんかダメだ、昔ながらの普通のラーメンがいいんだよ」という意見が題材になった回がある。「そんなこと抜かす奴はたいてい、週に何度もラーメンを食べ歩くようなラーメン好きではなく、そんな奴の言うことを聞いて『普通のラーメン』で店を開いても先は暗い」という話だった。

 『レイプレイ』事件で「規制派は黙れ頭かち割るぞ」と叫んでいる連中のほとんどは、「ニューウェーブなんかダメだ、昔ながらの普通のラーメンがいいんだよ」と抜かす奴と同じだろう。いったい連中の部屋には陵辱物が何本積んであるのか。98%以上の割合で5本未満、と断言する。(ここで2%未満に分類される層が大変恐ろしい方々なのだが、どこでもこういう2%は避けがたい)
 エロゲーを5本以上積んだら、たとえそれがコンシューマ移植前提のタイトルばかりでも、地下生活が始まる。この方々は、陵辱物規制の話を聞いても、「でも警察にそういう仕事をさせるのもねえ」くらいの一般論と消極的反対しか口にしようとしない。陵辱物のヘビーユーザーだなどとはおくびにも出さないか、たとえ出してもそれが些細なことであるかのように振舞う。腹の中では「やっぱりこれからはダウンロード販売だな」くらいの現実的な対処を考えている。「陵辱物はっ、俺のっ、魂だっ、規制派は黙れ頭かち割るぞ」などと叫び出す2%未満の方々は本当に恐ろしいのでどうか私には近づかないでください。
 エロゲーを5本以上積むようなヘビーユーザーは売上全体のごく一部、とお考えだろうか。しかし実際にマイナーな作品(といっても陵辱物にビッグタイトルはきわめて少ないが)を買い支え、市場を支えているのはこういう人々なのだ。
 「規制派は黙れ頭かち割るぞ」と叫んでいる連中の98%以上は、「陵辱物はっ、俺のっ、魂だっ」とは叫ばないし、その資格もない。騒ぎにかこつけて「頭かち割るぞ」と叫びたいだけの傍観者だ。おそらく女へのルサンチマンをたぎらせているのだろう。この連中は、学校の教室でのいじめを「もっとやれ」と煽る連中でもあり、「女なんて髪の毛一筋でも隙があれば強姦していい」と放言する連中でもある。
 陵辱物規制の本当の名宛人は、こういう傍観者である。
 こういう傍観者が「祭りは終わりかよ、つまんね」で引き揚げたら、規制は緩めていい。この呼吸が難しいところだ。行政にこういう器用なマネができるかどうか。警察がデタラメをやりかねないから、ではなく、こういう器用なマネができるとは思えないから、という理由で、この件に関しては法律を持ち出すことには反対する。
 なお、将来的にたとえ法律が持ち出されることになっても、「ハハ、そうだね、坊や、お前正しいよ。確かに有罪だ。いやいや、うん、まあ、ともかく、俺仕事に戻んないと……」と裁判官に向かって言える人材には事欠かないので、ヘビーユーザーの皆様はご心配なさらず。こういう人材をごっそり拘束できるほど日本の警察は暇ではない。

Posted by hajime at 2009年06月07日 21:58
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