ウンベルト・エーコ『醜の歴史』(東洋書林)167ページより。
ルクレツィア・マリネッリ
『女性の高貴さと卓越性』(1591年)
女性は男性より美しく、男性は概してより粗野で不格好に見えるのですから、女性が男性より優れていることを誰が否定できましょう? これは私だけの意見ではありません。女性の美しさは素晴らしい見ものであり、注目すべき奇跡だと言えるのに、男性は十分にほめたたえ、頭を下げることをしないのです。しかし、話を先に進めて私が示したいのは、男性は女性を愛することを余儀なくされ、強いられる一方で、女性の方は単に親切としてでなければ愛し返す必要がないことです。(中略)男性が美しいものを愛するのは必然でしょう。しかし、この世に女性以上に美しいものはあるでしょうか。何もありません。男性諸君が天国の輝きを表現するのに、女性の魅惑的な顔にたとえるのが良い証拠ではありませんか。この美しさゆえに、男性は女性を愛さざるを得ないのです。しかし、女性は男性を愛する必要はありません。なぜなら、男性は美が少ない、つまり醜いのですから、生来、愛される価値がないのです。しかし、あらゆる男性は女性に比べれば醜いのですから、男性は女性から愛し返される価値がありません、もし女性の親切で優しい性質がなかったならば。(中略)ですから、叫んだりしたり、どうしても女性に愛し返してほしいばかりに、残酷だの情け知らずだの無慈悲だの言うのはやめましょう。笑うべきことですね、詩人たちの書物はこういったことでいっぱいですよ。
人は4世紀も前から、ラノベのセリフのようなことを書いていたらしい。
Posted by hajime at 2014年08月05日 23:31