2005年03月24日

エレクトロニクス賛歌

たいまつ、ろうそく、願いさげ

古代の遺物は願いさげ!

ぼくらは作ろう、ぼくらは作ろう

二極!

 三極!

  四極!

   五極!

もっと作ろう、最新型の電波管!

 

飛行機、ロケット、民家をとわず

どこにもかがやく電波管!

地球も月も電子の時代

電子はぐくめ、ぼくらの夢を!

ソルジェニーツィン「公共のためには」(江川卓・水野忠夫訳)
『新しいソビエトの文学6 ソルジェニツィン集』(1968)より

Posted by hajime at 23:24 | Comments (0)

2005年03月19日

定説ではなく事実を

 カブロボコンテスト第1回が終了した。これは、テクニカル分析で株を売買するプログラム同士で、架空の運用を行い、成績を競うコンテストである。
 いきなりだが、おそらく第2回は開催されない。
 成績トップ10の売買履歴をご覧いただきたい。トップ10のうち、第1位、第3位、第7位、第9位の4つのプログラムが、ほとんど売買を行っていない。初日に玉を建て、あとはなにもしなかったのだ。
 大会ルールの説明にはこうある。
 「今コンテストでは成行・指値売買、空売り注文すべて手数料は掛かりません。今コンテストはアルゴリズムを競うことを主としていますので、積極的な取引を行っていただければと思います」
 証券会社は手数料で稼ぐので、客が儲かろうが損しようが、とにかく売買してもらわなければ困る。だからこの手のキャンペーンは必ず、「手数料なし」というふざけたルールで開催される。そのふざけたルールのもとでさえ、「売買するほど損になる」という結果が出てしまったのだ。
 証券会社や、その息のかかった人々は絶対に認めないが、テクニカル分析はマネーゲームというより宗教行為である。このコンテストで、その事実が満天下に晒されたわけだ。
 第8位もまずい。「下落率トップの銘柄を買えるだけ買って、翌営業日に全て売り払います」。カブロボコンテストでは、売買が架空のものだから容易に損切りができる。現実には、もし連日ストップ安なら、損切りさえできずに轟沈する。つまり、ダウンサイドリスクに差がある。差があるので鞘取りができる。もし第2回があるとすれば、同様の鞘取りを狙ったプログラムが多数応募され、上位を占めるだろう。
 もし第2回をどうしても開催するとしたら、なにがなんでも売買させるような、かなり不自然なルールを設定することになる。また、運用益を賞金として出すのは難しい。どんなルールを設定しても、架空と現実とのあいだでの鞘取りは、原理的に避けられない。
 というわけで、おそらく第2回は開催されない。不都合な実験結果を認めるかわりに、宗教的な宣伝で定説を作り出すことで、証券会社は取引手数料を稼いでいる。

Posted by hajime at 01:38 | Comments (0)