2007年10月03日

少コミを読む(第32回・2007年第20号)

 次回予告、千葉コズエの新連載のアオリ、「麻衣の彼氏は スーパー受験生のゆーくん」というのが面白い。どうすると受験生がスーパーになるのか考えてみる。
 
・受けるのは東大理3後期だけ、ほかは一切受けない
 スーパーだが受験生というよりチャレンジャーだ。とはいえ理論的にはありうることらしい。
 
・全国模試で連続トップ、3連覇を狙う
 本番よりも模試のほうを優先していそうなところがまるで『とどろけ! 一番』でスーパーだ。
 
・『ドラゴン桜』なみの底辺からのアタック
 これが一番シビアにスーパーで、女といちゃついている暇はなさそうだ。
 
 では第20号のレビューにいこう。

 
池山田剛『うわさの翠くん!!』連載第27回
 あらすじ:彼氏役()と当て馬(カズマ)が会い、敵役に注意するよう促す。司は現在の学校でサッカーを続けることを決める。
 何巻まで続くのか知らないが、話がさっぱり進まない。
 採点:★☆☆☆☆
 
・車谷晴子『危険純愛D.N.A.』連載第3回
 あらすじ:デートを中断させたのをきっかけに、彼氏役(千尋)が主人公(亜美)に接近、亜美も千尋に惹かれる。
 3回目にしてようやく女装設定が少しだけ利用された。
 これも例によって例のごとく、敵役(臣吾)をどう捌くかが難しい形だ。
 採点:★★☆☆☆
 
・水波風南『今日、恋をはじめます』連載第2回
 あらすじ:髪切り事件でクラスから孤立する主人公(つばき)。それをテコにして彼氏役(京汰)がデートを迫る。
 つばきの心理が重苦しい。作者の意図はわかるが、読者がついてこられるのかどうか。私もこのレビューがなければ脱落していると思う。
 採点:★★★☆☆
 
・悠妃りゅう『こい・すた』連載第2回
 あらすじ:主人公()が好きだった男の前でだけ、つきあっているふりをしてみせる彼氏役()。そこに別の男(護国寺)が現れて雫に告白する。それがきっかけで雫は空に告白する。
 少コミレビューを始めてまだ2年も経たないのに、「つきあっているふり」という設定を何度見たかわからない。そして、「つきあっているふり」という状況から、印象的なものを引き出した例を見たことがない。つまり便宜的なものに終始している。
 護国寺の扱いを軽くしたのはうまい。捌ける形になっている。
 採点:★★☆☆☆
 
青木琴美『僕の初恋をキミに捧ぐ』連載第50回
 あらすじ:いちゃいちゃする。逞は心臓移植の決意を宣言する。
 7ページ目、喫煙するとその友人を見て、度肝を抜かれた。中高年向けならともかく小中学生向けのまんがで、格好いいとされている登場人物が、紙巻きタバコ? 昭和か!
 今回の引き伸ばしっぷりを見るかぎり、残すところ8~9回には見えないので、11巻突入だろう。
 採点:★★★☆☆
 
・くまがい杏子『放課後オレンジ』連載第4回
 あらすじ:陸上部のマネージャの市川先輩はいつも彼氏役()の弁当を作ってきている。それを見た主人公(夏美)は自分も翼のための弁当を作ろうとするが、うまくいかない。その必死な様子を見た滉士が、自分も走り高跳びをやると宣言。
 扉絵に話数が書いていない。編集のミスだろうか。
 おむすびは揚げ物や煮物よりも難しい、と思うのは私だけだろうか。作り方が単純なもののほうが、「コツ」の差が如実に出てしまう。
 感情の流れが自然で、共感できる。絵の説得力も素晴らしい。
 採点:★★★★☆
 
咲坂芽亜『姫系・ドール』連載第11回
 あらすじ:彼氏役(蓮二)が父親とのトラブルを抱えているらしいことが示される。主人公()は自分に足りないものを自覚し、それを手に入れるために日本に戻ると宣言する。
 次回最終回の表記を探したが見当たらないので、どうやら3巻(18話弱)まで続くらしい。
 話に軸がないので、なにが起きているのかよくわからない。
 採点:★☆☆☆☆
 
・しがの夷織『はなしてなんてあげないよ』連載第7回
 あらすじ:主人公(京華)を人とも思わない敵役(鳴海)。しかし京華が彼氏役(大輔)に惚れているのを見て、京華を欲する。
 主人公の保護者の兄二人はどこへ行った、と首をかしげる。
 採点:★★☆☆☆
 
・新島由子『この夜の1つの恋に…』読み切り
 あらすじ:仲間6人でのキャンプで、彼氏役が主人公に告白。
 ティーンズラブ誌に載っているような実話原作系の話作りをしている。こういう話を読むと、少コミはドラマチック指向なのだと改めて認識させられる。
 ちまちました話なので当然といえば当然だが、細部の作り込みがしっかりしていて破綻がない。
 採点:★★★☆☆
 
・真村ミオ『クラッシュ☆』読み切り
 あらすじ:学校では王子様の彼氏役。あるとき彼氏役を尾行していた主人公は、彼氏役がすさんだ本性を現すのを目撃し、そのまま彼氏役の別荘へと連れていかれる。「お前には本当の俺を見ていてほしい」でハッピーエンド。
 世話焼きの権力的な嫌らしさを作者は意識していないらしい。主人公が彼氏役を弟と同じように世話しようとする(そしてうまくいく)、彼氏役の秘密の「本当の俺」を知っているのは主人公だけ、などなど。
 話も工夫が乏しい。
 採点:★☆☆☆☆
 
織田綺『LOVEY DOVEY』最終回
 あらすじ:全員集合で楽しく終わり。
 これといった逆転劇もなく、適当にまとめて終わった。
 採点:★★★☆☆
 
・白石ユキ『お嬢様のヒミツ・』最終回
 あらすじ:主人公()が彼氏役を意識する。その直後、晴の父親の転勤が決まり、再び引っ越すことになる。しかし晴は彼氏役と離れ離れになるのが嫌で、工事現場で働いて自活しようとする。彼氏役はそれを見つけて、父親と一緒に行くように諭し、離れていても好きだと告白する。
 バランス感覚がいいので、まんが的な誇張(工事現場でバイトする等)がよく効いている。
 採点:★★★★☆
 
第33回につづく

Posted by hajime at 2007年10月03日 17:35
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