6日まで、東北の某温泉宿に滞在した。最寄のコンビニまで歩いて15分かかる程度の田舎である。そのコンビニには、少コミは置いていなかった。いったい今現在、どこのどんな人が少コミを読んでいるのだろう、という疑問がまたしても湧いてきた。
では2009年第9号のレビュー。
・くまがい杏子『苺時間』連載第6回
あらすじ:生徒会長(慎太郎)は彼氏役(蘭)の友人で、理事長としての仕事を助けており、蘭と主人公(市子)の同居の件を秘密にしておいてくれる。蘭が理事長職にあることに反対する勢力が暴力に訴え、市子が危険にさらされる。
少コミおなじみの安易な暴力によるサスペンス。
評価:★★☆☆☆
・池山田剛『好きです鈴木くん!!』連載第15回
あらすじ:主人公たちが京都に修学旅行に行く。ちひろが他校の不良集団の万引きをとがめたところ、不良集団に絡まれる。
殺陣の練習がケンカの実戦に役立つというのはあまりにも説得力に欠ける。
沖田総司の人物把握に首をかしげる。怒鳴り声で凄みをきかせる沖田を描いた新撰組ものなど、今まで見たことがない。新解釈として主張するような面白みのある人物把握でもないので、おそらく作者は新撰組もののTVドラマさえ見たこともなく、「暴れる男」という安易な固定観念を描いたのだろう。マイナーな題材ならともかく、新撰組ほどメジャーな題材でこんなデタラメなことをするとは、読者をコケにするにも程がある。
評価:★☆☆☆☆
・水波風南『今日、恋をはじめます』連載第37回
あらすじ:転入生(ハル、ハルステッド)はかつて彼氏役(京汰)に恋人を奪われたことがあり、京汰は最低だといって主人公(つばき)に別れることを勧める。つばきがそれを断るとハルは、京汰との約束を果たすためといって突然つばきにキスする。
ハルは京汰の母親がらみではないかと予想していたが、どうやら外れたらしい。とはいえ、3ページ目左下の友人のセリフもあるので、その線もまだ残っているか。
評価:★★★★☆
・藍川さき『僕から君が消えない』連載第12回
あらすじ:部活のイベント中に、彼氏役(康祐)が暴漢に襲われて軽症を負う。その場に主人公(ほたる)が駆けつけて告白。友人(ユカコ)は身を引くと宣言し、ほたるの一目ぼれの相手が当て馬(駆)ではなく康祐だったと明かす。
とりあえず、よくわからない展開が終わった。ここから先、単行本1冊分もなにをやるのだろう。
評価:★★☆☆☆
・白石ユキ『となりの恋がたき』連載第2回
あらすじ:主人公(茜)とヒロは幼馴染3人組としての関係を修復しようとするが、一夜は動じない。
絵も話も密度が低い。納得感は高い。
評価:★★★☆☆
・咲坂芽亜『カワイイだけじゃモノ足りない!』連載第5回
あらすじ:主人公(アリス)は彼氏役(雷斗)に励まされながら着ぐるみのアクターを務める。仕事の直後、雷斗が以前所属していたモデル事務所がアリスを誘拐する。
着ぐるみをあまり活用しないまま、誘拐という安易な手に走ったのは疑問。
評価:★★☆☆☆
・千葉コズエ『ひとりぼっちはさみしくて』連載第11回
あらすじ:夏休みが終わり、主人公(詞央)と彼氏役(直)は学校に行く。二人の前に、直の彼女と名乗る人物が現れる。
敗戦処理が終了して新展開。
二股をかける彼氏役は少コミでは珍しい。直の人物造形からして説得力があるので、予定の展開だろう。
評価:★★★☆☆
・水瀬藍『センセイと私。』連載第14回
あらすじ:彼氏役(篤哉)が記憶を回復。主人公(遥香)は当て馬(拓海)に強姦されたことを隠すが、拓海が篤哉に「吉野を抱きました」と告げ、さらにライバル宣言。
29ページ目、強姦されたのに「ごめんなさい」もクソもないだろう。
評価:★☆☆☆☆
・さくら芽依『桜いっぱいの想い』読み切り
あらすじ:主人公は4年ぶりに故郷に戻ってきて彼氏役と再会するが、彼氏役は不良として有名になっており、主人公によそよそしくする。それは主人公を危険な目にあわせまいとする彼氏役の配慮だった。
アイディアが足りない。
評価:★★☆☆☆
・蜜樹みこ『恋、ひらり』連載第8回
あらすじ:彼氏役(佳月)と主人公(純恋)の関係は佳月の父に強く反対されており、そのストレスで佳月は日舞の技量が衰える。それを見て純恋は責任を感じ、別れようとする。
佳月の父親は大っぴらに愛人を囲っており、しかも佳月自身はその愛人の子でありながら跡継ぎになっている。これはメロドラマ的にストレスフルな環境であり、純恋との関係を反対されたところで、たいしてストレスが増えるとも思えない。
評価:★★☆☆☆
・星森ゆきも『17cm先の片想い』読み切り
あらすじ:主人公は背が高く、彼氏役は背が低い。主人公はこれまでスペックで男を選んできた過去があり、そのため彼氏役にも誤解されているが、主人公は彼氏役のことが好き。
人物造形に魅力がない。
評価:★★☆☆☆
・心あゆみ『暴君とマリアなキミ』最終回
あらすじ:彼氏役(蒔)は実は主人公(郁海)のことが好き。郁海は校内暴力集団のお守り役をやめようとするが、蒔がひきとめて告白。
技術的には頑張っているが、校内暴力集団をプラスのイメージで描くという構想に根本的に無理がある。
評価:★★☆☆☆
第68回につづく